文学・評論

【本要約】100分de名著 日本の面影 小泉八雲の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

100分de名著 日本の面影 小泉八雲

ジャンル: 文学・評論

著者: 池田雅之

出版社: NHK出版

発売日: 2016/11/22

本の長さ: 160ページ

9.6

総合

9.6

読みやすさ

10

学び

10

面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:求めるものは、自分の中の奥深い所に既に存在しているという事
  • 2:体験する事、自身の感覚を伴う行いこそ、本当に理解する事ができ、自身の血肉にする事ができるという事
  • 3:盆踊りのような何気ない行事の中にも、深い精神性が宿っており、学ぶべきものがあるという事

神奈川県にお住いのペンネームtakeshiさん35歳男性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2021年10月頃に読まれた100分de名著 日本の面影 小泉八雲を読まれたレビューになります。

100分de名著 日本の面影 小泉八雲の内容

イギリス人とギリシャ人の間に生まれたラフカディオ・ハーン氏が、日本を訪れ、その文化に魅了され、日本国籍を取得し小泉八雲と名乗り、日本に共感していく間に、思った事、見出した事を解説した本です。

大仏様の穏やかなお顔は何を表しているのか、日本人はどのような時も絶えず微笑を浮かべていて、西洋人にはその理由が理解できないが、そこにはどのような精神が働いているのか、など、日本文化や日本人の精神性について、八雲氏が考えた事が分かりやすく説明されており、日本人でさえ気づかなかった日本人の良さが描かれている大変優れた一冊だと思います。

100分de名著 日本の面影 小泉八雲の著者について

著者:池田雅之
1946年に生まれた学者です。早稲田大学の国際言語文化研究所の所長を務める早稲田大学の教授であり、親族にも、相撲評論家、雑誌創設者、ノンフィクション作家など多数の著名人が存在しており、言語や文化関係の分野で大きな功績を挙げられている人物です。

小泉八雲研究を専門としており、八雲氏の考えを通して、現代のグローバル化時代を生きる術を研究しておられる立派な方であり、子供、若者、大人が相互にやり取りしながら理解を深めていく「鎌倉てらこや」などの活動を通して、文部科学大臣奨励賞や正力松太郎賞などを受賞するなど、優れた功績も残しています。

100分de名著 日本の面影 小泉八雲本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:求めるものは、自分の中の奥深い所に既に存在しているという事
  • 2:体験する事、自身の感覚を伴う行いこそ、本当に理解する事ができ、自身の血肉にする事ができるという事
  • 3:盆踊りのような何気ない行事の中にも、深い精神性が宿っており、学ぶべきものがあるという事

日本で古来から信奉されている霊的なものとは何なのか、という点について、著者は仏教学者鈴木大拙氏などの考えを取り入れながら、論を展開していきます。また、日本は、明治維新によりひたすら西洋の価値観や文化、流儀を取り入れ西洋化を押し進めてきましたが、日本が本来持つ独自の良さもあるのではないか、という事を、八雲氏の見た日本という視点から、丁寧に解説していきます。この他にも、盆踊りに宿る精神性、あの不思議な魅力は何なのか、といった事を分析したり、日本人が日本文化を再発見する上でも、興味深い内容が多数ちりばめられている、良書だと思います。

外国人が日本での生活を体験する上で、どのような事を思い、日本に何を見い出したのか、そのような所を中心として、日本の面影が明らかになっていく本だと思います。

求めるものは、自分の中の奥深い所に既に存在しているという事

八雲氏は、寺に鏡が祀られている様子を見て、そこに表れている日本人の精神を考察します。八雲氏は、そこに象徴されているものとして、宇宙は我々の魂の反映としてのみ存在するという事、また、仏は自分自身の心の中に求めよという考えを分析して提示します。著者は、そこから、自分を探す旅とは、究極的には、自分の心の中にしか見つけられないのではないか、といった思想を導き出すのですが、確かにこのような考えは、自分を成長させる優れた側面を持っていると思います。

メーテルリンクの「青い鳥」では、身近な所にある幸せについて考えさせられる部分があり、そこでも、本当の幸せは、自分自身の考え方次第で、自分自身の中、あるいは、今ある身近な環境の中に見つける事ができる、という、この本の著者と同じような考えが展開されています。

私も、今自分の置かれている環境の幸せについて意識的に考えてみると、一日2ドル以下で暮らしている中東の人々や、自分の部屋すら持っていないアフリカの貧しい人々の暮らしを考えた時、物質的な側面で幸せである自分の境遇に気付きますし、むやみに焦ったり、苦しんだりせず、今ある豊かさを認識して穏やかな心で過ごす事に、幸せを見い出す事ができるような気がしました。

そのような意味において、この本で学んだ自分自身の中に幸福があるという思想は、大変優れたものであると思いました。

体験する事、自身の感覚を伴う行いこそ、本当に理解する事ができ、自身の血肉にする事ができるという事

八雲氏は、日本全国を旅する事で、心身共に日本に没入し、全身全霊で日本と日本人に共鳴しようとしました。これは、自らの体験を通してこそ、物事は本当に理解され、経験として自らのものとなり、その体験の中に幸せを見い出す事ができる、という思想を体現しているように思われます。

「夜と霧」の作者であるヴィクトール・フランクル氏は、人生の意味とは、その人によって発見されるものである、としています。精神科医の神谷美恵子さんは、生きがいとは、実際の体験や自身の発見を通して得られるものである、としています。

このように考えた時、八雲氏も、日本を体験する事で本当に日本を理解しようと試みたのである事が分かりましたし、私も、実際の自分の体験を大切にして、書物の表面的な知識だけでなく、行動において、人生を楽しみ、体験し、理解していきたい、と思いました。

盆踊りのような何気ない行事の中にも、深い精神性が宿っており、学ぶべきものがあるという事

八雲氏は、日本の祭りで行われる盆踊りにも、そこにある精神性を考察しています。盆踊りを見て、「何か夢幻の世界にいるような踊りであった」と語り、霊的な魂の交感や響き合いを体験したとしています。

確かに、踊りというものは、踊る事を通して精神的な開放を得る事ができる側面があり、そのような神秘的な体験を、世界を超越した物との交感や響き合いと表現したのかもしれません。

また、八雲氏は、盆踊りの音色は、音楽言語である音符に移し変える事ができない種類のものだ、としていて、これは、メロディーがその時々の場面ごとに自然と変化しながら演奏されている、即興のような要素のある自然発生的な音楽だ、という事を表しているように思われます。
そのようなものに触れた八雲氏は、彼が外国生まれであるにも関わらず、盆踊りを見て懐かしい、という思いを抱いたそうです。

盆踊りのもつ旅愁を誘う思いは、世界共通のものであるという事実は、興味深かったですし、このような盆踊りの持つ精神性についての八雲氏の考察は面白く、いい勉強になりました。

100分de名著 日本の面影 小泉八雲を読んでの感想やレビュー

日本人や大仏様に特有の微笑みの中に、「自己を抑制し、己に打ち克ち、常に穏やかな意識を持ち、相手を思いやる気持ちが表れている」という本書の説明は、自分の中に何か大きな余韻のようなものを残しました。それは、日本人として生まれていながら、意識する事のなかった日本的な文化の良さ、精神性といった物を発見する事につながりましたし、得る物も大きかったと思います。

大仏様の慈顔の中に、日本的な霊性を見い出した八雲氏の慧眼はすごいと思いますし、本書の中で仏教学者の鈴木大拙氏が述べている、「霊性とは、全てを包含する直観力の事であり、頭で理解できるものではなく、全身で感じ取るべきものだ」という説明にも、感銘を受けました。

大拙氏は、その霊性の上に、我等の品性、思想、信仰、情調といったものが養われてきたと説明し、それを基礎として世界的な新しいものを築いていかなければならない、とする彼の思想は、現代にも応用する事ができる優れた考えだと思いました。

八雲氏が、日本人の微笑みの精神の源と考えた「自己抑制」や「己に打ち克つ精神」は、今日の私達に多少なりとも残っているでしょうか、という著者の問いには、考えさせられるものがありましたし、そのような所に、時代に関わらず、大切にしていかなければならない精神が宿っていると思いました。

100分de名著 日本の面影 小泉八雲がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 「日本の面影」について詳しい所まで知りたい方
  • 小泉八雲という人物に興味がない方
  • 八雲的な日本文化論、霊性などについて既に知識を持っている方
  • 「日本の面影」という本に興味がない方
  • 霊性の定義など、難しい解釈や表現が好きではない方

小泉八雲氏は、1850年から1904年まで生きていた100年以上昔の人物です。そのような事もあり、昔の人の書いた書物には興味がない、八雲氏個人にも興味がない、同氏の展開する日本文化論、霊性といったものについても、既に知っていて興味がない、という方には、おすすめできないかもしれません。

しかし、基本的には内容の充実した一冊であるので、大多数の方がこの本を読んで得る物があると思いますし、霊性の定義について考えたり、日本文化の再発見をしたい方など、ほとんどの方には、大変勉強になる本だと思います。

しかし、扱っているテーマが難しいという事もあり、難解な文章が苦手だという方には、少し抵抗があるかもしれません。

盆踊りや仏様の微笑みなどについて、難解ではあってもその魅力を突き詰めてみたい、という方は、楽しめると思います。

100分de名著 日本の面影 小泉八雲をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 日本文化を詳しく学びたい方
  • 小泉八雲氏について知りたい方
  • 外国人の感性で日本を見つめるとどうなるか、知りたい方
  • 仏様の微笑が何を表しているか、知りたい方
  • 日本人はなぜ様々な場面で微笑むのか、知りたい方

この本には、外国生まれである八雲氏の視線を通して見た日本が描かれており、日本人が読んでも、参考になる記述がたくさんあります。八雲氏の経歴と合わせて、日本文化を学びたい方、八雲氏について知りたい方にうってつけなのではないか、と思いました。

また、寺にある仏様がなぜあのような穏やかなお顔をされているのかについて、日本人の微笑と共に解説しており、その点も面白かったです。具体的には、その微笑みは、自己を抑制して、どのような場面でも微笑みを浮かべて楽しそうに穏やかにしている事で、その場にいる相手などに、不快な思いをさせないという配慮がなされているからだ、と言います。

そのように考えた時、日本的な仏様や日本人の微笑、アルカイックスマイルの良さが理解できたと共に、そこにある精神性にも魅力的な部分を見い出す事ができました。

そのような事もあり、日本的な微笑みの意味について知りたい方には、おすすめできる内容になっていると思います。







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