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宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年
ジャンル: ノンフィクション, 事件・犯罪
著者: 原雄一
出版社: 講談社
発売日: 2018/3/28
本の長さ: 306ページ
この本から学べるポイント
- 1:現場の刑事の地道な捜査
- 2:警察庁長官狙撃事件の犯人はオウム真理教ではなく、中村泰という単独のテロリストであること。
- 3:警察上層部の頭の固さ
兵庫県にお住いのペンネームよしおさん65歳男性(職業:経営者・個人事業主(自営業))から2022年10月頃に読まれた宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年の内容
1995年3月オウム真理教の地下鉄サリン事件が起きたのに続き、国松孝次警察庁長官が何者かに狙撃された。警察トップが狙われたのは、オウム真理教が捜査をかく乱させるためと思われたので、警察はオウム真理教の信者を逮捕して徹底的に取り調べ、捕まえようとした。しかし決定的な証拠がみつからず、捜査は行き詰まっていく。そんな中、警察庁長官狙撃事件特別捜査本部にある南千住署へ、捜査1課の原雄一刑事が転勤を命じられ、やがて意外な男が捜査線上に浮かびあがる。この事件はいまだ未解決事件ですが、実際の刑事事件のプロセスを知ることができ、非常に興味深いです。
宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年の著者について
著者:原雄一中央大学卒業後、民間企業をへて1980年に警察官となり機動捜査隊、捜査1課主任、管理官などを歴任。数々の凶悪事件の捜査に従事し、2016年に勇退しています。
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宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年
宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年本の要約
この本から学べるポイント
- 1:現場の刑事の地道な捜査
- 2:警察庁長官狙撃事件の犯人はオウム真理教ではなく、中村泰という単独のテロリストであること。
- 3:警察上層部の頭の固さ
90年代に数々の犠牲者を出したオウム真理教は、カルト団体であり地下鉄サリン事件や坂本弁護士殺害事件など多くのテロ事件を引きおこしていますが、その中でも警察庁長官狙撃事件はいまだ未解決です。しかしこの警察庁長官狙撃事件の犯人は実はオウム真理教ではなく、中村泰という単独のテロリストであり、捜査にあたった原雄一刑事は中
村と何度も対面して聞き取りを行っていておそらくこの中村泰が犯人と思われます。しかし警察の上層部は頑として認めず、オウムのせいと決めつけて捜査方針を変えようとしない。現場の刑事と苦労も上層部のメンツで握りつぶされ、いまだ犯人は確定されていないのです。
現場の刑事の地道な捜査
警察庁長官狙撃事件の真犯人とされる中村泰という男は、特異な経歴を持ち戦前生まれで東京大学入学後、政治活動に入りやがて、武力で政権を打倒するという考えにとりつ
かれ資金獲得のために、窃盗事件を繰り返し服役する。やがて中村は拳銃を入手し、銀行強盗を企てるが巡回中の警察官に職務質問をうけてもみ合い、警察官を射殺する。中
村は逃走するが、やがて自ら出頭し無期懲役の判決を受けて服役する。中村は刑務所で印刷技術を身に着けて昭和51年に仮出所する。東京大学という高学歴がありながらプロの犯罪者になって、犯行を繰り返す人生が小説のようで興味深いです。
警察庁長官狙撃事件の犯人はオウム真理教ではなく、中村泰という単独のテロリストであること。
犯人の中村泰には共犯がいて、中村の手足となって働いた。共犯の男は中村とは千葉刑務所に服役していた時に知り合い出所後経営コンサルタントとして活動しており、三重
県名張市にアジトがあり、このアジトは共犯の男の鈴木名義だったが中村のアジトだった。警察はこの鈴木がキーパーソンと断定して取り調べを行うが、取り調べ中に病気で
死亡する。捜査は行き詰まったに見えたが、警察は鈴木の貸金庫の鍵を押収していて、貸金庫を調べてみると、3丁の拳銃と実弾が発見された。まるで映画のような展開で現実にこんなことがあるのかと驚いた。
警察上層部の頭の固さ
警察庁長官狙撃事件で使用された拳銃はコルトパイソンで、容疑者の中村泰もコルトパイソンを使用したと供述している。捜査にあたった原刑事は、アメリカウエザビー社に
連絡しその拳銃の注文書と売り上げ伝票を確認している。さらに製造元のコルト社へ通訳を伴って訪問し、コルトパイソンの実銃を試射してその威力を確認した。原刑事は
捜査の結果を公安警察参事官相手に説明するが、参事官は中村の容疑を完全否定する。このように現場の刑事の苦労も政治力で、捻じ曲げられるという組織の不条理。
宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年を読んでの感想やレビュー
現場の第一線で活躍していた優秀な元刑事の捜査記録なので、作家やライターでは書けない生々しい捜査の実態が描かれています。このような刑事事件の捜査記録など普通に
生活していては絶対知ることはないので、非常にためになります。また私も警察庁長官狙撃事件の犯人はオウム真理教の信者だと思っていたので、この本を読んで初めて中村
泰なる元過激派のテロリストを知ったのです。中村は東大へ進学したインテリにもかかわらず、銀行強盗を繰り返しついに狙撃事件をおこすという漫画のような人間でこのような男が実際に存在することに驚きました。
宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 未解決事件に興味がない方。
- 組織や団体とあまり関わりがない方。
- 公式発表を疑わない方。
- なし
- なし
日本には3億円事件やグリコ森永事件やこの警察庁長官狙撃事件など多くの未解決事件があり、実際はどうなのか興味がつきないのですが、中にはまったく興味もない方もいます。そういう方に無理にすすめても読むのは気が進まないと思います。また物事には裏と表があり、真実と思われているがあとでまったく嘘だったことがわかることも少なく
ないのですが、公式発表を鵜呑みにする人は反発するだけでしょう。さらに組織で働いたことのない方は、中間管理職の苦労はあまりピンとこないかもしれないです。
宿命 警察庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 現役警察官
- 8サスペンスやミステリーが趣味の方
- 会社や団体で中間管理職についている方。
- なし
- なし
長年刑事事件の最前線で活動してきた元警察官のリアルな体験なので、治安維持のため活動する警察官の職務に役立つと思われます。またサスペンス映画やミステリー小説が
趣味の方なら、フィクションを超える現実の事件の生々しさや迫力に圧倒され、一挙に最後まで読み通してしまうでしょう。さらに会社や団体などの組織で頑張っておられる
中間管理職の方なら、上からの指示や圧力で仕事の成果や努力が認められず、悲哀を味わうことに共感を得られると思います。警察や民間会社にかかわらず、組織の論理は
個人の努力を必ずにも評価するとはいえないのです。