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【本要約】「ギケイキ千年の流転」の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

「ギケイキ 千年の流転」

ジャンル: 文学・評論, 文芸作品

著者: 町田 康

出版社: 河出書房新社

発売日: 2018/6/6

本の長さ: 395ページ

8.7
総合
8
読みやすさ
8
学び
10
面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:現代の感覚と日本の戦国時代のセンスが融合する瞬間。
  • 2:古典であっても現代風の解釈に整えることができる。
  • 3:戦国時代の武将たちは誰しも勇猛果敢一辺倒でもなかったのかもも、という面白さ。

鳥取県にお住いのペンネーム祭りさん38歳女性(職業:その他)から2021年11月頃に読まれた「ギケイキ 千年の流転」を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください

「ギケイキ 千年の流転」の内容

鎌倉時代、平家討伐のために立ち上がる源氏の残党たち。京都では平家一門が隆盛を極めている。一方、頭領を失った源氏は血筋のつながった兄弟たちが各地に匿われ、命を繋ぐべく虎視眈々と探している。主人公は勿論、源義経。「イケてるか、イケてないか」なんという軽薄な口調で当時の風俗を説明する。「鎌倉仏教」などの当時最新だった信仰についても「あの時の祈りはマジで効いたのだった」のような説明が挟まれる。武士のメンタリティについても、現代語で語られる。

「ギケイキ 千年の流転」の著者について

著者:町田 康綾野剛主演で映画化された「ロック侍、切られて候」の著者で、サムライをテーマに現代的な口調で示した作品が多数の印象。

Youtube

【# うちで本を読もう】町田康さんがおすすめ「いま家で読みたい本」5選【Stay Home With Books】

「ギケイキ 千年の流転」本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:現代の感覚と日本の戦国時代のセンスが融合する瞬間。
  • 2:古典であっても現代風の解釈に整えることができる。
  • 3:戦国時代の武将たちは誰しも勇猛果敢一辺倒でもなかったのかもも、という面白さ。

「鎌倉殿の13人」を楽しんで感傷出来た人にはおすすめのシリーズ1冊目かと思います。源義経の伝記である「義経記」が底本になっており、現代の感覚と武士が台頭してきた平安末期?鎌倉初期の感性がチューニングされる感じです。なぜあんなに当時の武士は神仏に祈りを込めたのか、またなぜ当時の人(特に武士)は死をすんなりと受け入れたのか。次巻として「ギケイキ2 奈落への飛翔」があり、源義経が静御前と共に吉野へ逃亡する場面までが、現在発行済みの2巻に収められています。

現代の感覚と日本の戦国時代のセンスが融合する瞬間。

これまで時代劇や大河ドラマ、小説を読んでもなかなか本当に楽しむことができないでいましたが、この小説「ギケイキ」の素敵なところは「話し言葉(しかも超カジュアル)」な書き口で登場人物が会話するところ。義経がさながらイケイケのスタートアップ企業の社長のようにしゃべります。この部分でノることができたら多分、1冊目?2冊目は楽勝で読み進められると思います。「現代ならこう感じるだろうが、当時はそうではなかった」というようなさながら「第3の壁」を破ってこちらにキャラクターが飛び出してくる感じです。

古典であっても現代風の解釈に整えることができる。

「古典文学をそこ本にしている」というと結構ハードルが高いかな、と思いつつ読み進めていましたが、まるでそんなことはなく源頼朝と義経の張り詰めた政治的な駆け引き、それでもどことなく流れる牧歌的な日常風俗の描写、そして何より意外だったのが武将たちが「センスがイケてるかどうか」を気にしつつ、また「身分相応の振る舞いができているかどうか」をものすごく気にしつつ生きている様子が描かれているのが印象的でした。現代社会との相違点なども「義経自身」が解説します。

戦国時代の武将たちは誰しも勇猛果敢一辺倒でもなかったのかもも、という面白さ。

この小説のおおもしろさとしてあげるべきポイントは、戦国時代の武将たちは誰しも勇猛果敢一辺倒でもなかったのかもも、というところです。例えば、義経に忠義を誓った武蔵坊弁慶のキャラクター描写もこれまでの源義経の関連作品とは一味違うのではないかと思います。例えば、弁慶が思うように寺院で成果を挙げられなかった場合どうするか。登場するのは、なんとツイッターで「クソリプ」をしたおすという場面がありました。メンタルの不調って例えばこんな感じだっただろう、というリアルな描写でした。

「ギケイキ 千年の流転」を読んでの感想やレビュー

個人的にはめちゃめちゃ面白い作品でした。著名な辺境冒険家・執筆家の高野秀行さんが大学の先生との読書の対談本でおすすめしていた書籍なので絶対に間違いはないと思って読み始めました。高野さんの書籍が好き、TBS「クレイジージャーニー」が好きだったという人なら絶対に楽しめる一冊かなと思います。源氏による鎌倉幕府設立までの歴史物をここまで楽しんで、しかもカジュアルに読ませてもらって本当にラッキーという気分でした。

「ギケイキ 千年の流転」がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 残虐描写が嫌いな人。
  • 抜本的な古典の再解釈が苦手な人
  • 砕けた口調でキャラクターが喋るのが許せない人。
  • なし
  • なし

基本的にすべての歴史に興味関心のある人におすすめですが、やはり戦国時代の草創期が舞台ということもあり、戦の場面や女性が虐げられる場面などの描写があります。つまり、その部分に過剰に心が刺激されてしまいそうな方にはおすすめしません。また、あくまでもこの作品は「筆者による義経記の再解釈」です。キャラクターたちも若手の社会人のような軽口を叩いたり、相槌を打ったり、かなり砕けた会話をします。この部分に引っ掛かりを感じる人は読んでいて苦痛じゃないかなとお思うのでおすすめはしません。

「ギケイキ 千年の流転」をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 時代劇が本当に楽しめないかも、という人
  • 歴史ファン
  • 町田康の描く成果が好きな人
  • なし
  • なし

歴史好きにおすすめではあると思いますが、あくまでもこの作品の筆者が「町田康」であると忘れてはならないと思います。超現代的で砕けた言葉遣いや、超斬新なアナロジーにどっぷり没入できる人はおすすめです。もしかしたら町田ワールドってこんなもの、とご存知の方が多いかもですが。それを踏まえて読んでみると感想は、やはり一言で「超新鮮」そして個人的には「鎌倉殿の13人」の「有名俳優が毎回毎回揃い踏み!」なんという立て付けや視聴者の内輪だけの盛り上がりっぷりに心底に辟易していたクチなので、好みに合ったと思います。







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