ご紹介する本
総合
読みやすさ
学び
面白さ
この本から学べるポイント
- 1:歴史資料からどうやって検証していくかという、記述内容からのロジカルな思考法
- 2:歴史学の仮説の立て方
- 3:プロパガンダが入ってしまうような内容に対する内容を扱う際の姿勢
茨城県にお住いのペンネームスズさん34歳男性(職業:会社員・職員(正規雇用)?)から2022年1月頃に読まれた悪王リチャード三世の素顔を読まれたレビューになります。
悪王リチャード三世の素顔の内容
シェイクスピア史劇では悪逆の限りと尽くす悪王として書かれているリチャード三世が実際にはどんな人物であったのかを当時の資料をもとに真相を明かしていく本です。著者がもともと歴史学者ではなく文学者で、シェイクスピアが書いているリチャード三世という人物が史劇通りだったのか、歴史の中のプロパガンダで悪役として書かれるようになった王様なのかといったことを史劇や定説ではこう、当時の資料ではこうで当時の資料のうち政治的な観点からだれが信用できるかを細かく検討しています。
悪王リチャード三世の素顔の著者について
著者:石原隆哉
著作を出した当時、駒澤大学の教授でイギリス文学を中心とする文学の研究を行っている方です。本来は歴史学の人ではないですが、文学での味方と実態を比べている人です。
悪王リチャード三世の素顔本の要約
この本から学べるポイント
- 1:歴史資料からどうやって検証していくかという、記述内容からのロジカルな思考法
- 2:歴史学の仮説の立て方
- 3:プロパガンダが入ってしまうような内容に対する内容を扱う際の姿勢
イギリスの歴史に興味のある人やシェイクスピアなどのイギリス文学に興味のある人はもちろん、最近は薔薇王の葬列というリチャード三世をもとにしたアニメが出ているようなので、そういったところからリチャード三世に興味を持った人にお勧めの本です。歴史の資料をどのように読んで、どうやって歴史的事実が確からしいか、資料の信憑性をどうやって確かめていき、仮説を詰めていくかという点から歴史学の手法に興味のある人や歴史に関心があってロジカルな思考法を学びたい人がその例として読むのがおすすめです。
歴史資料からどうやって検証していくかという、記述内容からのロジカルな思考法
この本の中ではリチャード三世という人物を通して、それにかかわる歴史的な多くの資料を多く検証しています。その中にはこの人物が生きていた時代とその後、シェイクスピアの史劇ができるまでの間の2種の資料を扱っています。こう言った資料を時系列的に並べていってどこで表現が変わったか、どの人物がその資料を書いたか、その資料のおおもとになる情報を与えたと思われる人物は交流関係からだれであったかなど、主観が入りかねない資料の適切性を検証する方法が実例で学べました。
歴史学の仮説の立て方
歴史学の資料というのはどうしても記述された内容をどう読み解くかというものになるので、数字をいじれば答えが出るような学問と違って、その分野にいないものとしては同憲章しているかがわからないでいました。この本ではどうやって仮説を立て、その仮説をどのように記述された内容から求めるのかという方法が実例をもって知ることができました。特に、交流関係や書いた人物の素行を確認するといった作業を別資料での記述をもとに確認するなど方法論を学ぶ本としてもとてもいいものです。
プロパガンダが入ってしまうような内容に対する内容を扱う際の姿勢
リチャード三世という人物がシェイクスピアの史劇では悪逆の限りを尽くし、すべてを利用する悪の権化のような人物として書かれています。ある種そこが魅力ともいえるのですが、実際の人物がそんな心情だけで行動して王様にまでなることなんかできないだろうと思っていました。この本で書かれているのも1つの仮説にすぎませんが、当時の資料を確認していくことで悪政を行った王様ではなく、どうやらプロパガンダで悪にされた悲しい王様だったというのが一定程度確からしそうだということが学べました。
悪王リチャード三世の素顔を読んでの感想やレビュー
この本はイギリスの一人の王様を扱った本です。歴史に興味のあって、多くの歴史の知識を持つ人も多いと思いますが、実際に歴史的事実というのをどのように検証していくのかというのに興味はありませんか。この本では悪王として知られている一人の王様が実はプロパガンダによって虐げられたのではないかと疑念を検証していく本です。イギリスが好きな人、歴史が好きな人にとってディープな内容を知れると思います。アニメでリチャード三世に興味を持った人にも見てもらいたい本の一つです。
「悪王リチャード三世の素顔」
まだ途中だけどシェイクスピアは「おのれ」とあの世で襲いかかられても仕方ない気がする #いいねの数だけ自分の本棚にある本を記載する見た人もする https://t.co/RTAGSpm15q pic.twitter.com/0tDAtXoB4U— 鯖大帝@二月の清らかな乙女団長 (@Type1090) August 12, 2020
悪王リチャード三世の素顔がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 長文を読むのが難しい人
- 歴史をドラマチックに見たい人
- 歴史に興味のない人
- イギリスに興味のない人
- 検証をする文章を読むのがつらくなる人
この本は歴史の定説に資料から疑問を投げかけている本で、30代前半で亡くなった王様についての検証をするために300ページほど費やしています。そのため、ある一つの内容に多方面から確認を行うことで長文になるのとともに、検証していくことが主体となる本なのでドラマチックな展開は来ません。なので、ドラマチックなストーリーを求めている人にはお勧めしません。また、非常にロジカルな内容なのですが、イギリスの歴史をテーマにしているのでイギリスにも歴史にも興味のない人にとってはただ読むのがきつい本になってしまいます。この本で使っている方法は論理的に物事考えるのによい例だと思うのですが興味のない人にはただつらいだけだと思うのでお勧めしません。
悪王リチャード三世の素顔をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- イギリスの歴史に興味のある人
- リチャード三世に興味のある人
- 歴史学に興味のある人
- 歴史を通してロジカルな思考法を学びたい人
- 薔薇王の葬列でイングランド史に興味を持った人
定説ではシェイクスピアの史劇のように悪逆非道をつくした王様であるというのがリチャード三世です。特に、甥殺しとしてイギリスでも多くの人にとって悪人だと思われているようです。この本では、そんな定説に疑問を投げかけています。疑問を投げかけるだけであれば多くの本で行われているような気がしますが、この本ではその疑問を非常に丁寧なプロセスを追っていって、定説のおかしい部分やあやしい部分を求めていきます。歴史に興味のある人であれば、どんな形であれば歴史上の内容で定説が間違ってる可能性があるといえるのかというのを学べますし、歴史だけでなくこの本で行っているプロセスはロジカルに物事を考える際に限られた資料からどう見ていくかというのを学べる実例になるもので、大変いい本だと思っています。