歴史・地理 地理・地域研究

【本要約】地名の楽しみの書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

地名の楽しみ

ジャンル: 歴史・地理, 地理・地域研究

著者: 今尾恵介

出版社: 筑摩書房

発売日: 2016/1/6

本の長さ: 239ページ

9.
総合
7
読みやすさ
10
学び
10
面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:地名は、その場所の地形を表すことが多い。同じ地形の意味でも、さまざまな漢字があてられている。
  • 2:地名の文字から、地震などの危険度を判断するのは間違い。
  • 3:町と村、字と大字の違い。

東京都にお住いのペンネームうさぎさん56歳女性(職業:経営者・個人事業主(自営業))から2022年4月頃に読まれた地名の楽しみを読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください

地名の楽しみの内容

日本の地名について、さまざまな角度から分析した本です。なぜその地名がついたのか、地形、歴史、職業、生活などの背景を、具体的な地名を挙げながら、詳細に説明しています。昔の地図の画像も掲載されていて、楽しめます。合併による地名の変更の裏事情や、同じ漢字なのに読みが違う地名、駅名と地名の関係、アイヌ語由来の北海道の地名、方言による読みにくい地名、最近増えたあるカタカナの地名などにもふれています。郡や字など、現在使われている住所表記の歴史についても知ることができます。

地名の楽しみの著者について

著者:今尾恵介地図研究家。子供の頃から地形図や時刻表を眺めるのが趣味で、地図に関する著書は多数あり、地名や鉄道にも造詣が深い。

Youtube

鉄道に詳しい地図研究家が語る、スマホ時代でも「紙の地図」に触れるべき理由|探究TV

地名の楽しみ本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:地名は、その場所の地形を表すことが多い。同じ地形の意味でも、さまざまな漢字があてられている。
  • 2:地名の文字から、地震などの危険度を判断するのは間違い。
  • 3:町と村、字と大字の違い。

地名は、山や川、湿地、崖など、地形にちなむものが多くあります。また、同じ市の名前は避けなければならないため、東西南北を冠したり、上・下、中央をつけたりと、命名にはさまざまな事情もあります。同じ読みでも漢字が違う、逆に漢字は同じなのに読みが違う地名もあります。最近ではカタカナの地名も多くなってきています。誤字のように見え、書き誤ってしまいがちな特殊なものもあります。合併による地名もありますが、それには決定にいろいろな人の思い入れが交錯しています。現在の地名(住所)は階層になっており、その構造にも歴史があります。

地名は、その場所の地形を表すことが多い。同じ地形の意味でも、さまざまな漢字があてられている。

たとえば、崖は、昔は「ハケ」や「ママ」と呼んだので、その音の地名がたくさん残っていますが、漢字はさまざまです。ハケにちなむ地名は、羽ケ下(羽村市)、八ヶ下(日野市)羽毛上(調布市)など。ママは、間々(小牧市)、万々(高知市)、真間(市川市)など。大間々(みどり市)や、間々田(小山市)もあります。字のない時代から音で伝わってきた地名には、どのような字をあてるかを迷った昔の人の思いがにじみ出ています。

地名の文字から、地震などの危険度を判断するのは間違い。

週刊誌やネットやなどで、「「○」のつく地名の土地は危ない」などという言説が拡散されることがありますが、安易に文字からは判断できないといいます。命名されてからの土地の変化や、実際に人が住む場所との関係など、個々の地名によって大きく異なるからです。逆に、たとえば「台」のつく地名は、地盤が硬く安全だと思われがちですが、低湿地に少し土を盛っただけの新興住宅地に「○○台」と命名したところも少なくないので、安全とも言い切れないそうです。

町と村、字と大字の違い。

明治初期には、町と村は、職業による違いで区別されていました。町は商人の市街、村は農民の部落と、はっきり分けられていたそうです。大字は、明治時代に町村制が施行される前の「村」にあたり、江戸時代の幕藩体制下で用いられた村のこと。字は、大字をさらに細分化したもので、明治時代に命名されたものもあり、その大きさは、平方キロ単位から、一坪ほどのものまで千差万別。ひとつの大字に所属する字の数も、さまざまだそうです。

地名の楽しみを読んでの感想やレビュー

地名の由来について、具体例を挙げて丁寧に説明しているので、とてもわかりやすく、楽しく読めました。内容も濃く、背景について詳しく書かれていて、ただ事実を述べて終わりということではありません。著者の研究、興味の深さが表れています。こういった新書は、見出しごとにバラバラなネタが並んでいるものも多いのですが、この本は、全体の流れがあり、内容がブツブツと切れていないので、読み進めやすいです。住所の階層構造にも触れているので、さらに勉強になりました。

地名の楽しみがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 地図を見るのが苦手な人
  • 漢字が苦手な人
  • 物事の背景に興味がない人
  • なし
  • なし

地図の画像もたくさん載っているので、地図が苦手だったり、アレルギーのある人は、読み進めるのはつらいと思います。また、地名の例がたくさん出てくるので、漢字も多いです。地名の漢字は特殊なものが多く、中には読みにくい漢字もあり、もちろん読み仮名はふられているものの、漢字を見ると頭が痛くなるという人には、あまりおすすめできません。地名の由来が主な内容ですので、物事の背景を深く知ることに興味がない人には向いていません。

地名の楽しみをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 地図をよく見る人、地図が好きな人
  • 日本の歴史や文化に興味がある人
  • 言葉の成り立ちや、表現に興味がある人
  • 雑学や蘊蓄ネタを仕入れたい人
  • 鉄道が好きな人

全体が地名の話で、具体的な地名がたくさん出てくるので、地図をよく見る人であれば確実に楽しめます。また、地名は、昔の生活に密着しているので、日本の歴史や文化に興味があれば、知識がさらに広がると思います。地名の成り立ちは、言葉の歴史にもつながる部分があるので、言葉や表現に興味がある人にもおすすめです。雑学としても、良質な内容が詰まっています。少しマニアックな情報ではありますが、地名というとっつきやすい分野なので、さまざまな場でネタにできます。著者は鉄道にも造詣が深く、本書にも駅名などが登場するので、鉄道好きにも楽しめると思います。







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