ご紹介する本
戦国日本と大航海時代
ジャンル: 歴史・地理, 日本史
著者: 平川新
出版社: 中央公論新社
発売日: 2018/4/18
本の長さ: 290ページ
この本から学べるポイント
- 1:日本史を世界史との関連性から再検証する事の楽しさ。
- 2:当たり前ですが、忘れがちな事として日本は大昔から世界の一部であったということ
- 3:三英傑はどうして戦国時代を生き抜き、天下人となれたのか。その外交力や精神力、胆力を世界史の観点から再検証する。
千葉県にお住いのペンネームウィンストンさん40歳女性(職業:会社員・職員(正規雇用)?)から2022年5月頃に読まれた戦国日本と大航海時代を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
戦国日本と大航海時代の内容
戦国時代は日本史の中では、武将同士の国盗り合戦で、結果的に勝ち取ったのが信長であり、秀吉であり、家康であった。彼らは戦国時代の勝者であった。というのが教科書やドラマなどで描かれている話でしたが、世界史として見た場合にはどのように変わるのか?日本の戦国時代は世界史では大航海時代にあたり、実は、他のアジアと同様に日本も植民地にされる可能性があった。では、どうして植民地にならなかったのか?そこには三英傑と呼ばれる人々とヨーロッパの国々との駆け引きがあった。というお話です。
戦国日本と大航海時代の著者について
著者:平川新この本が出版された当初は、宮城学院女子大学学長。現在は、東北大学名誉教授。近世史研究家。福岡県出身。72歳。
Youtube
大帝国スペインに強硬外交を展開した難敵・日本【大航海時代×戦国時代】
戦国日本と大航海時代本の要約
この本から学べるポイント
- 1:日本史を世界史との関連性から再検証する事の楽しさ。
- 2:当たり前ですが、忘れがちな事として日本は大昔から世界の一部であったということ
- 3:三英傑はどうして戦国時代を生き抜き、天下人となれたのか。その外交力や精神力、胆力を世界史の観点から再検証する。
15世紀以来、スペインとポルトガルはキリスト教布教と一体化した、世界征服事業を行っていた。16世紀に入るとアジアにまでその触手を伸ばし始める。フィリピンやインド等次々とその植民地として、現地の人々を支配していた。必然的にそのターゲットは日本にも向けられた。最初は武力で日本を制圧しようと試みるが、当時の日本は長く続いた戦乱によって、世界最強とも言える武力を保持していた。宣教師のリサーチ力によって、その事実を知った、スペインやポルトガルはキリスト教の布教によって、日本を支配する方向へと切り替えていく。その目論見に気づいた、秀吉そして家康は果たしてどのように立ち向かったのか。
日本史を世界史との関連性から再検証する事の楽しさ。
日本史の授業では、日本の歴史の話だけで終わってしまい、同じ時代に世界はどのように動いていたのか?を考える機会はあまり与えられません。
学校の試験でも、日本の歴史の話だけが書かれている教科書の内容を暗記していれば、良い点数を取る事が出来ます。
歴史の楽しさとはどこから来るのか?どのような思考力を持てば、歴史の楽しさに気づく事が出来るのか?その一つのヒントとなるのが、本作のような世界史との関連性からの歴史の検証ではないかと思います。
当たり前ですが、忘れがちな事として日本は大昔から世界の一部であったということ
日本は戦国時代で、上杉謙信や武田信玄が戦っていた時代。民衆は戦乱の中でもなんとか生き延びようと必死に過ごしていた時代。まさに弱肉強食ともいうべき時代だった。そんな時代を終わらせ、平和をもたらしたのが三英傑であった。というのが日本史での描かれ方だと思います。
そんな日本と同時期にあった世界の国々はどうであったのか?他の様々な国々の現状を知る事で、日本は昔から世界の一部であったという当たり前の事ですが、忘れがちな事について気づく機会が得られると思います。
三英傑はどうして戦国時代を生き抜き、天下人となれたのか。その外交力や精神力、胆力を世界史の観点から再検証する。
織田信長は残虐な人?豊臣秀吉は人たらしで天下を取った?徳川家康は楽して開いた天下の椅子に座っただけの人?ともするとこのようなステレオタイプな描かれ方をする三英傑ですが、それだけでは群雄割拠していた時代に生き延びる事は困難であったのではないかと思います。家臣の裏切りや下克上が当たり前の時代にありながらも、家臣や民衆からのある程度の支持が得られるような人格者であったのではないかと。スペインやポルトガルの侵略者は、武力も知力もとても高い人々です。そんな人々と渡り合い、結果的に日本の植民地化を阻止したのはやはり偉大な事だったと思います。
戦国日本と大航海時代を読んでの感想やレビュー
徳川家康ファンの私ですが、周囲からは「戦国武将は只の殺人者でしょ?ファンというのはおかしい」と言われても、なかなか言い返す口実に苦慮していました。
しかし、そんな私に「いやいや、徳川家康はなかなかの人物でしたよ」と改めて武将以前の、一人の人間としての徳川家康を考えるきっかけを与えてくれたのが、本作です。
歴史好きの方には、最新の研究から自分が考えていた歴史とは違った視点や事実が出てきているという事を本作を通して知っていただけたら嬉しいです。
戦国日本と大航海時代がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 日本史に興味がない人
- 世界史に興味がない人
- キリスト教にアレルギーのある人
- なし
- なし
基本的にすべての方におすすめしますし、どのような方にも一度は手に取って頂きたい一冊ですが、歴史に全く興味がない方が手にとられても、面白さが理解できないと思いますし、日本史や世界史の知識が殆どない方は、書かれている内容を難解に感じられると思います。少なからず、世界史や日本史に興味のある方にさらに色々な可能性を検証する楽しみを味わって頂きたいと個人的には感じていますので、あえていうならこのような方にはあまりおすすめしません。
戦国日本と大航海時代をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 日本史が好きな人
- 世界史が好きな人
- スペインやポルトガルに興味がある人
- キリスト教の歴史に興味がある人
- 大航海時代に興味がある人
この本には色々な視点から検証するのが面白い学説が複数登場します。日本史好きで世界史好きの私は、この本を通して、今まで興味の無かったキリスト教の布教の歴史に興味を持ちました。逆に、キリスト教の歴史に興味のある方がこの本と出会ったらどのような化学反応が起きるのか?では、大航海時代に興味がある人がこの本に出会ったらどのような化学反応が起きるのか?と考えると、様々な視点からこの学説と出会い、もしかすると新たな学説が生まれるのではないか?もしくはさらに踏み込んだ検証が可能なのではないか?と様々な可能性を感じているからです。