文学・評論

【本要約】硝子の塔の殺人(著者: 知念実希人)の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

硝子の塔の殺人

ジャンル: 文学・評論

著者: 知念実希人

出版社: 実業之日本社

発売日: 2021/7/30

本の長さ: 504ページ

9.6

総合

10

読みやすさ

9

学び

10

面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:ミステリーへの敬意
  • 2:大どんでん返し
  • 3:予測外の設定

香川県にお住いのペンネームひまわりさん55歳女性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2021年10月頃に読まれた硝子の塔の殺人を読まれたレビューになります。

硝子の塔の殺人の内容

これまでに様々なミステリ作品を発表して読者を楽しませ続けてくれた知念実希人さんが、新たな視点と斬新なアイデアを駆使し、過去のミステリーへの敬意を払いつつ作り上げた最高のミステリー作品です。外界と遮断されたガラスの塔、そこに招かれた怪しげな人物たち、おぞましい被害者の過去など、ミステリーファンをワクワクさせる要素がいっぱいにつまっています。そして語り部はなんと、犯人。「それってどういうこと?」と疑問を抱いた方にぜひ、読んでいただきたい作品です。

硝子の塔の殺人の著者について

著者:知念実希人
小説家であると同時に内科医でもあり、その知識と経験を活かした医療系のミステリーなどが人気を集めています。

硝子の塔の殺人本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:ミステリーへの敬意
  • 2:大どんでん返し
  • 3:予測外の設定

雪深い山奥にそびえたつ硝子の塔。その塔の大富豪の主人が何者かによって殺害されます。外界との連絡を遮断された硝子の塔で塔に招かれた人々は、刑事や霊能力者、小説家や料理人など、一癖も二癖もある人物たち。そして美形の男装の名探偵、碧月夜は、医師の一条遊馬の力をかりてこの難事件を解決していきます。しかし、協力者だと思えた医師、一条には大きな秘密があり・・・・というのが本編の内容です。一ページ目から、あまりにも意外過ぎる展開に驚かされる名作です。

ミステリーへの敬意

本編の各所に過去に発表されたさまざまなミステリーが登場し、登場人物たちがその魅力について語り合うという形で、過去のミステリー作品に対する敬意が払われています。ミステリーファンにとっては、本編と同時に、これまで読んだミステリーについて一緒に語り合っているような気持ちになれるという楽しみもあります。これまでにありそうでなかった知念実希人さんらしい、本当に読者を楽しませてくれる演出で、作品自体の素晴らしさ以上に感心させられました。

大どんでん返し

結末をお話しすることはできませんが、大どんでん返しが得意な知念実希人さんの作品の中でも、これは群を抜いた作品ではないでしょうか。とくにラストの主人公がすべての謎を解き明かしたシーンからは、はやく結末が知りたくて、ページをめくる手をとめることができなくなったほどでした。読者の想像の上の上をいく、予測も出来なかった結末に、きっと大勢の読者が度肝を抜かれることでしょう。知念さんが本書でとりあげた数々の有名ミステリーの中に名を連ねる作品になったと感じます。

予測外の設定

最初にも述べたように、この作品の語り部は犯人自身です。そんなことをしたら犯人がわかってしまって面白くないのではなどと、お考えの方も多いでしょう。私自身もそう思っていましたが、この作品においてそんな心配はまったく不要です。逆に犯人側の恐怖とスリルを味わえる上、予測できない結末へと導いてくれます。いったい、この著者の頭の中はどうなっているのかと思ってしまうほど、数々の伏線が張りめぐらされており、それらが回収されていく様に、読み終えた後は思わず「やられた」とつぶやいてしまいます。

硝子の塔の殺人を読んでの感想やレビュー

知念さんの数多くの作品をすべて読んできましたので、正直、もうネタは尽きたんじゃないかと素人ながらに思っていたのですが、これを読んで、そんな心配を笑い飛ばされたような気がしました。しかもミステリーファンにはたまらない要素をちりばめた、本当に充実した内容の作品で、おまけに登場人物たちが魅力的なので、ぜひぜひシリーズ化して欲しいと思ったほどです。ただ一つ、表層はとても綺麗なのですが、一方でシンプル過ぎて本作の良さを今一つ伝えきれていないようにも感じました。その点はもう一工夫して欲しいと思います。

硝子の塔の殺人がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • こみいった話は苦手だという人。
  • ミステリー自体にあまり興味のない人。
  • 知念実希人自体があまり好きでない人。
  • 長編作品を読むのが面倒だという人。
  • グロ系がちょっと苦手だという人。

知念実希人さんの過去の作品を読んで、自分にはあわないなあと思った方にはあまりお勧めできません。また、ミステリー自体にあまり興味のない方にも、随所にちりばめられたエピソードを楽しむことができないため、退屈だと感じられる可能性があります。また、少しグロい表現が多少出てきますので、そのような部分に拒否反応を示される方も避けた方がよいでしょう。登場人物が多く、建物やトリックもこみいった内容が多いので、こみいった話が苦手な方もダメだと思います。

硝子の塔の殺人をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 知念実希人さんのファン 
  • ミステリーが大好きな人
  • 綾辻行人 館シリーズ にはまった人
  • ありきたりなミステリーに飽きたという人
  • 最近の新作ミステリーより、古典ミステリーのほうがよかったと思っている人

最近のミステリーは奇をてらおうとするあまり、現実にはあり得ない設定をしたり、ラノベっぽい文章を多用したりしているものが多くみられます。それはそれで楽しめるのだけれども、やっぱり古典的なミステリーが私は好きだなあという人、そんな人が待っていた作品が、この作品だと思います。本作は、古典作品の良さを十分残しつつも内容は斬新で、けっして過去のミステリーをなぞらえただけのものではない、新しいジャンルの作品だといえるのではないでしょうか。







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