人文・思想

【本要約】100分de名著 神谷美恵子 生きがいについての書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについて

ジャンル: 人文・思想

著者: 若松英輔

出版社: NHK出版

発売日: 2018/4/25

本の長さ: 116ページ

7.3

総合

7

読みやすさ

7

学び

8

面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:生きがいは、目的にたどり着く事によって手に入れられるようなものではなく、目的に向かって歩く過程そのものにある。
  • 2:人生の意味とは、何らかの知性を組み合わせて作り出すものではなく、発見するものである。
  • 3:人生においては、誰もが確かに生きがいを見い出す事ができる。

神奈川県にお住いのペンネームtakeshiさん35歳男性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2021年11月頃に読まれた100分de名著 神谷美恵子 生きがいについてを読まれたレビューになります。

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについての内容

人が生きていくためにはどのような目的を持つべきか、という事について、ハンセン病患者の生活を通して、精神科医である神谷美恵子さんが思った事、考えた事を詳細に分析していく、という本です。

ハンセン病を患っている方も、その困難ゆえにそこに使命感を見い出し、尊厳をもって生きていく事ができる、というたくましく素晴らしい考えが記されており、そこに、哲学的、宗教的、詩的な要素を加味しながら、人が生きる上での生きがいについて、様々な事が語られている一冊です。

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについての著者について

著者:若松英輔
1968年に生まれた東京工業大学の教授です。慶應義塾大学を卒業した後、多数の著作を執筆し続けている鋭意の学者であり、多数の読書経験と優れた洞察力から、分かりやすく、説得力があり、卓越した考察を行う先生です。

「良心の書」という事もできる西田幾多郎の「善の研究」についての著作を行うなど、その文章からは、優れた精神性をうかがい知る事ができますし、本書では、初心者でも分かるように、内容を丁寧に解説してくれています。

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについて本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:生きがいは、目的にたどり着く事によって手に入れられるようなものではなく、目的に向かって歩く過程そのものにある。
  • 2:人生の意味とは、何らかの知性を組み合わせて作り出すものではなく、発見するものである。
  • 3:人生においては、誰もが確かに生きがいを見い出す事ができる。

著者は、本書の中で生きがいの例を多数挙げて紹介してくれています。

例えば、生きがいというものは、大きな達成感と共に、心を大きく揺さぶるような喜びを見い出した瞬間、神の啓示のように訪れるものでもありますが、神谷さんは、生きがいは、案外、今、ここに潜んでいる事が少なくない、と言います。

例えば、自分の周りにある環境を意識的に見てみましょう。子育て中の親の方なら、子供に自分の持っている価値観や、素晴らしいものを伝えて、それを糧にして立派な大人になってほしい、そして、その精神を次の社会や人々、子供達に伝えていってほしい、と思い、そのために子育てを頑張る、というのは、一種の生きがいという事もできるでしょう。

その他にも、家族とのふれあい、趣味に没頭する事なども生きがいになり得る物であり、このように、生きがいについて考えを発展させる事ができるのが、本書の特徴となっています。

生きがいは、目的にたどり着く事によって手に入れられるようなものではなく、目的に向かって歩く過程そのものにある。

生きがいとは、目標を設定してそれを達成した時に得られるものだという考え方もできます。しかし、神谷さんは、目的に向かって歩く過程そのものに生きがいはある、と言います。

目標とは、達成されれば次の目標が設定され、そして次の、次の目標、といったように、無限に設定されていくものであり、永遠に終着点にたどり着けません。

初めの目標を給料を上げる事として、年収500万円が目標だとします。それが達成されたら、年収800万、次は1000万、3000万、1億、10億、50億と目標は際限がありませんが、年収10億円稼げる人がどれだけいるでしょうか。お金を稼ぐ事は良い事ですし、目標も大きい方がやりがいはありますが、そこで、年収10億円稼げない自分は不幸だ、という具合になると、そのような生きがいはどこか間違っているのではないか、という事になります。

そこで、成長を続けるその過程で頑張っている自分、仲間と一緒に仕事をやり遂げていく喜び、そういった事に価値を見い出す事ができれば、そこにやりがいはある、と著者は言います。

そのように考えた時、生きがいを獲得しやすくなると同時に、人生を楽に生きられるようになるのではないか、と思いました。

人生の意味とは、何らかの知性を組み合わせて作り出すものではなく、発見するものである。

「夜と霧」の著者であるヴィクトール・フランクル氏は、人生の意味は、作り出すものである前に、発見するものである、と述べています。著者は、そこにこそ、生きがいを見い出す事ができると述べており、人生に対して、自発的に発見を行い、行動する事ができる時、生きがいは生まれやすいと言います。

確かに、仕事をする上で、与えられたレールを歩いていると思うより、ここはこうすると良くなるな、こういった方法で業務は効率化できるかもしれない、と自分なりの発見をしながら、仕事を自分のものにする事ができれば、やりがいは生まれやすくなります。

勉強にしても、歴史的な出来事については、この戦いで100人が死亡した、という記述を見て、それをそのまま暗記するのが普通です。しかし、実際に人が100人死んでいる状況を自分なりに思い浮かべて、その壮絶さを理解、発見する事ができると、歴史が生きてくるのではないか、と思います。

そのような自分なりの解釈や発見ができれば、押し付けられる受験勉強の中にも、楽しさや学ぶべき事を見い出す事ができ、得る物もあるのではないか、と思います。

このように、フランクル氏のように、自分で発見する、というスタンスで物事を見ていく事で、人生は楽しく面白くなり、生きがいも見い出しやすくなるのではないか、と思いました。

人生においては、誰もが確かに生きがいを見い出す事ができる。

デカルトは、「方法序論」の中で、良識こそ、万人に平等に与えられたものではないか、と述べています。道元は、仏性は全ての人に内在している、と説いています。神谷さんは、生きがいは潜在的に全ての人の人生に存在していると考えます。

このように考えた時、良識も、仏性も、生きがいも、如何に自分の中に見出す事ができるか、という点にポイントがある事が分かります。

それならば、仕事で楽しくない業務を任された時も、それが自分に与えられた使命である、と考えると、その業務に対するスタンスも変わってきて、やりがいを持って仕事にあたれるのではないか、と思います。嫌な仕事を任された時も、それが何らかの人達の役に立つ、社会のための仕事である、という使命感を見い出す事ができれば、誰もがそこに生きがいを見い出せる、と神谷さんは言います。

これは、確かに大切で尊重すべき考え方であり、私も、使命というものを日頃から意識して、物事に取り組んでいきたいと思いました。

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについてを読んでの感想やレビュー

本書は、生きがいについて書かれた本ですが、その中で、生きがいとは、明言化を拒むもの、概念化を拒むもの、つまり、実際の体験や自身の発見を通して得られるものであるとされています。

本書では、それを変革体験として説明しており、例えば、自分は大きな物の流れの中、大自然に生かされている、という事を悟った時、自然や社会への崇敬を抱く事ができ、人生は穏やかな幸せに満たされる、と解説されています。

個人的には、これは、仏教的な思想が垣間見える考え方だと思うのですが、自然に生かされている事を知り、そのありがたさを感得するという考え方は、浄土真宗の親鸞の「仏の御心と教えは、ひとえに親鸞一人がためなりけり」という難異抄の言葉に通じるものがある優れた思想だと思います。

このような変革体験は、確かに人生を生きる上で重要な物ではありますが、個人的には、そのような特別なものではなくても、恋人と過ごした楽しい時間や、スポーツの試合で目一杯体を動かし、いい汗をかいた後の爽快感。大学生がアルバイトで働き、自分の大学の学費を稼ぐのにこれほど大変な思いをしなければいけないのか、というお金を稼ぐ事の大切さを知った時、など、体験を通して自分の感覚として物事を理解するという事は、生きがいを考える上で重要なポイントだと思います。

本書では、そのような生きがいについて、様々な考えが示されていて、とてもいい本だと思いました。

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについてがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • ハンセン病患者の実態について詳しく知りたい方
  • 生きがいといったテーマに興味がない方
  • 「生きがいについて」という本自体を読みたい方
  • 簡単な解説書では満足できない方
  • 神谷美恵子さん個人に興味がある方

まず、本書は、ハンセン病患者の施設で精神科医として働く神谷美恵子さんの体験を通して、ハンセン病のようなつらい境遇にある方は、どのような考えを持っているのか、という事をテーマにした一冊です。

しかし、ハンセン病患者の記述は、全体の限られた部分にしかなく、後は、神谷さんの思った事や人生について、といった内容で構成されており、ハンセン病患者の考えや思想、生活に肉薄した内容を期待していると、少し趣向が異なる部分があるかもしれません。

また、神谷さんの人生についても記されているのですが、お手軽に読める簡易版の本なので、その内容も限られた物となってしまわざるをえず、神谷さんの人生について徹底的に知りたいという方にも向いていないかもしれません。

ハンセン病患者の考えの一部、神谷さんの体験、思想、といったものを、バランスよく構成して全体としてとても興味深い本になっているのですが、ページ数の関係上、それらのどちらかを深く追求したいという方には、少し物足りない部分もあるかもしれないと思いました。

また、生きがいについて知りたい、考えたい方には、大いに手助けになる本ですが、哲学や人生の意義といったテーマに興味がない方は、楽しめない内容かもしれないと思いました。

100分de名著 神谷美恵子 生きがいについてをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 生きがいを持ちたい方
  • 生きがいとは何か考えてみたい方
  • ハンセン病患者について考えてみたい方
  • 手軽に本を一冊読みたい方
  • 面白い考え方を学びたい方

生きがいをテーマとして、その主題を深めていく作品ですから、生きがいとは何か、生きがいを持つにはどうすればいいか、といった事に興味がある方には、おすすめできると思います。

また、100分de名著という本のタイトルからも分かる通り、普通の本と比べて、比較的短時間で読む事ができますので、生きがいについて手軽に学びたい、という方にもおすすめです。

また、本の中には、生きがいについてというテーマ以外にも、よく生きるとはどういう事か、といった事や、古今東西の著名人たちの言葉を引用して、主題を補足している部分があるので、単純に知的好奇心を満たしたい方にも、おすすめできる内容となっています。







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