ご紹介する本
モモ
ジャンル: 文学・評論, 文芸作品
著者: ミヒャエル・エンデ
出版社: 岩波書店
発売日: 2001/11/12
本の長さ: 377ページ
この本から学べるポイント
- 1:時間の過ごし方や豊かさとは何か
- 2:社会の見えざる枠組みやシステムで操作され、生きる大人たちを冷静に客観視した姿
- 3:周りの人々を大切にし、自然の美しさや、今持っているものを愛でるシンプルな生き方が実は豊かであるということ。
愛知県にお住いのペンネームみーさん29歳女性(職業:経営者・個人事業主(自営業))から2022年11月頃に読まれたモモを読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
モモの内容
豊かな生き方と幸せについて、改めて考えさせられる本です。
子供の時は目の前にある美しい風景や会話、自然を使った面白い遊びなど、今あることを純粋に楽しむことができました。
「今、ここにいる自分」というものを素直に愛し、楽しむ術を知っていたのです。
それが大人になると時間とノルマに終われ、いかに効率良く、たくさんの仕事をするかに人生の全てをかけるようになります。
時間やノルマに終わりはなく、全身全霊をかけるうち、もう大人には大切なことや幸せがわからなくなっていくのです。
これは実は個人レベルの問題ではなく、資本主義において支配する側、される側で生じる社会問題ということに読み手によっては気づきます。
本来多くの人にとって幸せとは、目の前にある出来事を純粋に楽しみ、周りの人の関係のなかで対話していくことではないでしょうか。
児童書に見せかけた、大人の本です。
モモの著者について
著者:ミヒャエル・エンデドイツ人の児童文学作家です。
当時ドイツは戦争中でした。
16歳の時、ミヒャエル・エンデにも疎開先へ召集令状が届いたもののこれを破り捨て逃亡。
夜の森の中を80キロ歩いてミュンヘンにいる母の元で身を隠しながら、「バイエルン自由行動」で反ナチス運動を行います。
そして1960年の『ジム・ボタンの機関車大冒険』でドイツ児童文学賞を受賞、他にも『モモ』、『はてしない物語』を発表。
児童書でありながら現代社会を鋭く風刺したような作品は、世代や国籍を超えて大人にも人気の著者です。
中でも『モモ』の日本語版は150万部以上読まれており、どこの図書館にも置かれているような有名な本です。
Youtube
【モモ①】時間貯蓄銀行と不思議な力を持つ少女(Momo)
モモ本の要約
この本から学べるポイント
- 1:時間の過ごし方や豊かさとは何か
- 2:社会の見えざる枠組みやシステムで操作され、生きる大人たちを冷静に客観視した姿
- 3:周りの人々を大切にし、自然の美しさや、今持っているものを愛でるシンプルな生き方が実は豊かであるということ。
時間ドロボーを退治するために冒険するモモの物語です。
厚いですが、文字が小さくないので大人であればさくさく読み終わることができます。
ファンタジー小説で児童書に分類されますが、社会を経験した大人にこそ刺さる物語です。
現代の社会を風刺したような場面がいくつかあり、生き方や幸せについて立ち止まって考える機会になりました。
問題を指摘しながらも、書かれている情景が美しく心温まる物語でした。
子供にとってはワクワクするファンタジー小説、大人にとっては裏の意味がわかる深いメッセージが込められた本です。
時間の過ごし方や豊かさとは何か
時間の過ごし方や幸せとは何か、それは今目の前にある物事を大切に捉え、今ある時間を大切に噛みしめることだと学びました。
本の登場人物の老人の言葉に以下のような趣旨の言葉があります。
「先を見すぎてはいけない、疲れてしまう。今あるこの一つを大切に取り組むのだ。そうすれば楽しくなる。」
私たちはよく目標を決めて逆算して行動しているうちに、達成するまでの辛抱だとか我慢と思って今ある時間をないがしろにしてしまいます。
それだと達成するまでの人生のほとんどの時間を辛抱だと思って不幸せな状態で過ごすということ。
そうではなく、先を見過ぎず、今目の前にある物事に大切に取り組んでいるうちに、いつの間にか楽しく達成できているということを教えてくれました。
社会の見えざる枠組みやシステムで操作され、生きる大人たちを冷静に客観視した姿
私たちが自分の豊かさのためと思って頑張っていることは、実は社会システムを操作している側にとって都合の良い洗脳であったりするということを学びました。
例えば、時間を節約して出来るだけたくさんの仕事をしなければいけないと考える人がほとんどでしょう。
でもたくさんのことをこなしたところで、もっと、もっとと社会からの要求は止まることを知りません。
資本を持っている側の命のために、労働力を最安値で可能な限りたくさんの仕事をさせるという社会の枠組みがあるからです。
悪いことではありませんが、その社会の中で生まれてきた私たちはどう生きるか、立ち止まって考えることを学びました。
また、実は購買意欲も実は社会が作り出しているものということも学びました。
この本には、ものを持つことこそ豊かさであるということを宣伝や周囲に植え付けられていることを風刺する場面もありました。
幸せは人によって違うので、作り込まれた社会の中で、自分の考えや意思を持つことが本当の豊かさと学びました。
周りの人々を大切にし、自然の美しさや、今持っているものを愛でるシンプルな生き方が実は豊かであるということ。
人間はお金やモノだけでは幸せに生きていけないことを学びました。
お金やモノではいつまでも満たされず、さらに得ようと必死になります。
終わりのないループの中で、必死になるうちに大切な人を忘れてしまったり、大切な人のために使う時間がなくなりそのまま死を迎える人もいます。
本来は自分と大切な人が幸せになるために働いているのに、お金やモノを追求するほど生活は豊かに、そして心は不幸になっていく様を風刺している場面がありハッとしました。
人生の時間は有限であり、与えられている時間を幸せのためにどう使うか考えさせられます。
モモを読んでの感想やレビュー
心温まる物語で、人生を変えてしまう本です。
有名な本なので子供の時から存在は知っていて、やっと読むことができました。
読んだ本はほとんど売ってしまうのですが、この本は宝物のように家に保管しています。
迷った時は人生の指針として、この本を見返そうと思います。
日本人は真面目な人が多いので、多くの人におすすめしたい本です。
頑張っているのに抱えている生きづらさの正体とは一体何なのか、この本を読むと掴むことができます。
モモがおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- ビジネスを身につけたい人
- 時間を節約したい人
- お金を儲けることが生きがいの人
- 怠け癖がある人
- なし
基本的にすべての人におすすめですが、現段階ですぐにお金を稼ぎたい人、ビジネスが生きがいの人向きではないかなと思います。
また、何かを頑張ろうとしていて奮い立たせてくれるような熱い自己啓発本を求めている方も物足りないかもしれません。
この本は、今の生き方に悩んでいる人、幸せを学びたい人やすでに頑張っていて疲れている人に、そんなに頑張らなくても大丈夫だよと刺さります。
そのため元から怠けるのが好きな人が読むとさらに怠けてしまう気がしてためにならないかもしれません。
モモをおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 忙しい日本人
- 自分の幸せがわからない人
- 転職に悩んでいる人
- これから大人になって社会に出る高校生や大学生
- なし
日本人は豊かな国にいるのに、不幸な人が多いと言われています。
その解決策や心の在り方のヒントがこの本には詰め込まれていると思います。
児童書に分類されている本ですが、社会を経験した大人たちには非常に刺さる本だと思います。
自分の気持ちに蓋をして、頑張り続ける忍耐強い日本人は、いつしか本当の幸せがわからなくなる人が多いのではないでしょうか。
見上げてみれば美しい自然や美味しい食べ物、あたたかい友人や家族がいるはず。
社会の中で生きる幸せがわからなくなってしまった大人や、これから大人になる若い子達に特におすすめの本です。