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【本要約】脱出記シベリアからインドまで歩いた男たちの書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち

ジャンル: 文学・評論, 評論・文学研究

著者: スラヴォミール・ラウィッツ

出版社: ヴィレッジブックス

発売日: 2007/11/20

本の長さ: 449ページ

9.
総合
9
読みやすさ
8
学び
10
面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:一念岩をも通すという人間の信念の強さ
  • 2:極限の絶望状態での思わぬ希望と救いがある
  • 3:信じられない奇跡が時として現実にある

岩手県にお住いのペンネーム猫田 猫之介さん50歳男性(職業:その他)から2021年7月頃に読まれた脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たちを読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たちの内容

第二次世界大戦中が舞台のノンフィクション作品。ポーランド陸軍中尉だった著者はソ連当局に無実の罪で逮捕され、シベリア収容所で強制労働25年の判決を受ける。厳寒のシベリアで想像を絶する過酷な日々に耐えかねた著者は、収容所で出会った仲間達とともに脱走を計画し、ついにそれを敢行する。唯一の移動手段である「徒歩」により1年以上かけてシベリアからインドまで逃亡。飢餓、負傷、病気、仲間の死など、極限状態での凄まじいサバイバルドラマが展開する。

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たちの著者について

著者:スラヴォミール・ラウィッツ1915年ポーランド生まれ。同国陸軍騎兵隊中尉としてドイツ軍と交戦。シベリアからの脱出後、イギリスに渡り、2004年に88歳の生涯を閉じる。YOUTUBEを変換

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:一念岩をも通すという人間の信念の強さ
  • 2:極限の絶望状態での思わぬ希望と救いがある
  • 3:信じられない奇跡が時として現実にある

著者が体験したことを口述筆記により書籍化した本です。著者とその仲間たちはシベリアの雪原、モンゴルのゴビ砂漠、ヒマラヤ山脈を越えてインドまで徒歩により逃亡します。その距離、約6,500km。東京駅を起点にすると、パキスタンかオーストラリアまでの距離に相当します。時には蛇を殺して喰らったり、時には水も食料も手に入らず、文字通り飲まず食わずで20日間歩き続けたり、突然の仲間の死などの悲しみを乗り越えてなおも進んで行きます。

一念岩をも通すという人間の信念の強さ

ごく普通に考えたら、不可能とも思える脱出計画ですが、主人公の飽くなき自由への執念、そして冷静沈着な決断力、行動力、どれも脱帽ものですが、当時25歳だったということに更に驚く。あまりにも困難な目標を、あえて淡々と追い求めていく。一見、成功物語であるが、その代償、犠牲が大きすぎる。過酷とか、そんなありきたりな一言で表現するにはあまりにも憚りがある、そんなお話なのである。人間はここまで頑張れるものなのかと、呆然とする。

極限の絶望状態での思わぬ希望と救いがある

全体的に悲壮で困難な状況でありながら、そんな中でもちょっとしたユーモアや希望を持てるエピソードが救いのようにやってきます。脱獄してすぐに、別の施設から逃げ出してきたという、同じポーランド出身の少女が逃走劇の仲間に加わり、明るい彼女のお陰でどれだけメンバーの精神的な助けとなったことか。砂漠の途中でオアシスを発見して、ひとときのやすらぎを得たり、モンゴルの遊牧民やチベットの山岳民族から無償の救済を受け、命を長らえたり、思わぬ救いがある。

信じられない奇跡が時として現実にある

いわゆる偶然の幸運が、都合よく勝手に向こうからやってくるということはない。天は幸運より試練を多く与えるようだ。もしあったとしても僥倖に見えるそれらは奇跡でも何でもなく、地道な努力の積み重ねが、結果として現れてくるだけの話だ。あえて一つ挙げるなら、逃亡劇の冒頭で凍った川から魚を4匹だけ捕獲することができたこと、ただこの一度きりである。それでも、この困難な旅が犠牲を出しつつも成功したこと、その業績がこうして我々の知ることとなったのは奇跡に近いのである。

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たちを読んでの感想やレビュー

とにかく、驚嘆・驚愕のお話です。徒歩による移動距離の世界記録には、300日で16000kmというものがありますが、おかれた状況が全く違います。孤立無援で食料も水も充分ではなく、ほぼ現地調達、おまけに歩くルートは平坦な道路ではなく、雪原、砂漠、川、ヒマラヤ山脈です。忘れてはいけないのは、主人公には素晴らしい仲間たちがいて、彼らのおかげで主人公は生きてインドまで脱出できました。実のところ、脱出の行程にあまり重要ではないエピソードの一つに、ヒマラヤの「雪男」との遭遇のシーンがあります。この謎の生物について、実に詳細に描写があり、興味深いのですが、このあたりは唐突で突拍子もなく、事実であるかどうか疑わしいと思われるかもしれません。しかしながら、読了してから呆然とするほど感銘を受けました。それほど凄い本であると断言します。

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たちがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 地味ではなく、いわゆる華々しい冒険譚のほうが好きな人
  • 長い読み物が苦手な人
  • あまりに荒唐無稽な話に抵抗がある人
  • ノンフィクションものに抵抗がある人
  • (戦時中の話で)残虐な描写が苦手な人

1年以上に渡る長い物語です。脱出を決行するまで全体の3分の1ほど読み進めることとなりますが、これでも途中の内容をだいぶ切り詰めてあるそうです。アクション映画のようなエキサイティングなシーンはほぼ無く、苦しみながら淡々と歩いていくばかりです。つまり地味なのです。ノンフィクションでありながら記録的な本ではなく、その当時の仲間達との会話を、よくぞここまで鮮烈に覚えていたものだと感心するほど、文学的です。冒頭で主人公がソ連当局に拷問を受ける残虐なシーンがあり、また最終局面のヒマラヤでイエティ(雪男)とおぼしき謎の生物に遭遇するエピソードも含め、疑り深い人や、この世界観に浸れない人には不向きかも知れません。

脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たちをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 新鮮な驚きを味わいたい人
  • シリアスであるがドラマチックな物語が好きな人
  • 壮大で強烈な逆転劇が好ましく思える人
  • ノンフィクションものに抵抗がない人
  • 第二次世界大戦中という舞台設定が苦手でない人

本書はいわゆる脱獄物、脱出物と呼ばれるジャンルに興味がある人に突き刺さるタイトルです。しかし本書はそれだけに収まりきらない、壮大な物語です。脱出の手段が「歩くのみ」なので、そこに新鮮な驚きがあるでしょう。ノンフィクションでありながらストーリーは非常に起伏に富んでおり、読む物を魅了し続けると思われます。特に、個性豊かな仲間たちの存在感も素晴らしく、ラストも秀逸です。本当にこんなことが現実にあったのかと、驚愕することでしょう。第二次世界大戦中のお話でありながら、戦闘シーンは無く、戦記物とも一味違います。







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