文学・評論

【本要約】跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることの書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていること

ジャンル: 文学・評論

著者: 東田直樹

出版社: KADOKAWA

発売日: 2018/6/15

本の長さ: 208ページ

8.3

総合

8

読みやすさ

9

学び

8

面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:言語的コミュニケーションが苦手な理由について
  • 2:感情や行動を理性でコントロールできない理由について
  • 3:記憶が繋がらない障害であること

茨城県にお住いのペンネームハムさん36歳男性(職業:その他)から2021年1月頃に読まれた跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることを読まれたレビューになります。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることの内容

自閉症当事者である著者が、自閉症とはどのような障害なのかを自身の言葉で赤裸々に綴っている書籍です。
自閉症者はなぜ意味深な独り言を発しているのか、なぜ突然奇声をあげるのかなど、自閉症当事者である著者の感性・感覚・立場からその障害特性を具体的に説明しているので、障害者がそもそも日頃から何を考えているのかという所から知る事ができる書籍です。当事者が障害特性を自身の体感で説明してくれているので、とても貴重な本です。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることの著者について

著者:東田直樹
会話ができない重度の自閉症を抱えながらも、パソコンや文字盤ポインティング(文字盤を自身で指差しながら言葉を発する)で援助なしのコミュニケーションが可能な著者である。グリム童話賞など、数々の受賞歴あり。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることのYoutube


「跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていること」についてYouTube(ユーチューブ)で紹介している動画がないか調べてみました。
「BookTV358」チャンネルで紹介されているので良ければ合わせて見てみてください。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていること本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:言語的コミュニケーションが苦手な理由について
  • 2:感情や行動を理性でコントロールできない理由について
  • 3:記憶が繋がらない障害であること

先天性の脳機能障害と考えられている自閉症がなぜ人と上手くコミュニケーションがとれないのか、その理由や特性を当事者の観点から説明してくれている本です。
人と上手に挨拶できないのはなぜ?感情や行動を理性で抑えられないのはなぜ?など、当事者である著者の体感から説明してくれているので、障害を理解するために必要な情報がわかりやすく豊富に記載されています。また、同じ障害でも人によって個人差があったり、独特の世界観を持っている事などについても記されています。

言語的コミュニケーションが苦手な理由について

人と上手に挨拶できないなど、言語的コミュニケーションが苦手な理由として、自閉症を抱える著者の場合、目の前にいる人を「人」として捉えることができていないという問題がある。そして、目の前にいる人が風景の一部としか認識できていない為、人に話しかけられると目に見える全ての風景が一斉に自分に話しかけてくるような感覚であり、どれに話しかけていいのかわからない為、結果一番感心のひかれるものに心を寄せるという。こだわりが強いのはこのためである。

感情や行動を理性でコントロールできない理由について

感情や行動を理性でコントロールできない理由として、自閉症を抱える著者にとって同じ体勢でじっとしていたり、何かを妨げられるという事はまるで自分が自分でなくなるような不安に刈られるほどとても不自然で過酷な事だという。そのため、著者はこのような場面になると一ヶ所でじっとしていたり、我慢する事ができず、席をたったり、辺りを動き回ったりしてしまう。こういった事から自閉症者は変化を極度に嫌う特徴があるという。

記憶が繋がらない障害であること

自閉症とは記憶が繋がらない障害であり、著者にとって記憶は繋がりのない点のようなものである。そのため、何か失敗をしてもいつ・どんな失敗をし・自分はどうする必要があったかなど、記憶を上手く結びつける事ができず、結果似たような失敗をしても上手く思いだせず、同じミスを繰り返してしまう。一方、体験した事自体はきちんと覚えている為、時に何の前触れもなく突然恐怖体験などが脳内で再現される事があり、結果フラッシュバック現象で苦しみ、突然奇声を挙げる事があるという。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることを読んでの感想やレビュー

この本を通して、自閉症や発達障害を抱えた当事者が日頃どのような感覚で生活しているのかを具体的にイメージしながら察知する事ができ、また記憶が上手く結びつかないなどの理由を通して発達障害が「脳機能障害」である事を学ぶ事ができました。一方で、自閉症者の過半数以上は知的障害を併発していたり、その程度にも人それぞれ個人差がある事から、障害を一概にこういうものだと決めつけすぎず、あくまでもその人個人を見る事が大切だと感じました。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 自閉症を始め、発達障害を理解する気のない方
  • 自閉症を始め、発達障害の事は熟知していると自負している専門職の方々
  • 自閉症を始め、発達障害を学習している方で、本から得た情報が学習の妨げるになるという方々
  • なし
  • なし

基本的には全ての方々におすすめな本ですが、自閉症当事者が自身の言葉でその障害特性を説明している為、自閉症や発達障害などについて関心がなかったり、理解しようという気のない方には話しが入ってこないと思うのでおすすめしません。また、その道の専門職の方々で障害特性を熟知していると自負している方々や現在学校などでその障害を勉強している方々にとっては、教科書などでは知り得ない情報が豊富である分、受け入れがたい方もいるかと思いますのでおすすめしません。

跳び跳ねる思考会話のできない自閉症の僕が考えていることをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 身近に自閉症者がいて関わり方に困っている方
  • 自閉症者の支援に関わっている専門職の方々
  • 自閉症や発達障害に興味関心があり、学習している方々
  • なし
  • なし

身近に自閉症や発達障害を抱えた家族、友人、知人などがいて接し方わ関わり方に日頃困っている方などは、当事者を知るきっかけになるような本なのでとてもお勧めです。また、自閉症を始め、発達障害者などの支援に携わっている専門職の方々にとっても、日頃支援に携わる上で参考になる情報か豊富に含まれている本なのでお勧めです。一方、自閉症や発達障害に興味関心があり、日頃学習している方にとっても教科書などには載っていないような内容(特に当事者自身が当事者目線からその障害特性について説明している点)が豊富に記載されている為、お勧めです。







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