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この本から学べるポイント
- 1:精神医療の被害者が増加する要因の1つに、安易に統合失調症の診断を下す精神科医が多発している事が挙げられる
- 2:精神医療の被害者が増加する要因の2つめとして、精神科医が安易に薬物療法を施行している現状がある
- 3:厚労省の施策により、2019年から2024年にかけて若者を対象に精神医療の早期介入を試みた事が子どもの医療被害を増加させた
茨城県にお住いのペンネームパンニハムハサムニダさん36歳男性(職業:その他)から2022年4月頃に読まれたルポ精神医療につながれる子どもたちを読まれたレビューになります。
ルポ精神医療につながれる子どもたちの内容
"ルポライターである著者が日本精神医療の実態調査を行い、その調査を元に世間で認知されている精神医療とは別の視点観点からその医療の現状を綴った書籍です。
地域住民に対して、精神疾患の早期発見や早期介入を試みとした精神医療の介入は世界的な試みである一方、欧米などではそれに対して批判的な議論も挙がっており、それを裏付けるような「医療被害」と呼べる現状が日本国内で広がっている。そして、その医療被害は子どもにまで及んでおり、その実態をルポライターが赤裸々に綴っています。"
ルポ精神医療につながれる子どもたちの著者について
著者:嶋田和子
フリーのルポライターであり、著者知人の子どもが精神医療の被害にあった事がきっかけでこの本のテーマとの関わりにふれる事になる。ブログ「精神医療の真実」の創設者であり、そのブログを通して被害体験を募り、3年間で実に100人以上の被害者を取材している。
ルポ精神医療につながれる子どもたち本の要約
この本から学べるポイント
- 1:精神医療の被害者が増加する要因の1つに、安易に統合失調症の診断を下す精神科医が多発している事が挙げられる
- 2:精神医療の被害者が増加する要因の2つめとして、精神科医が安易に薬物療法を施行している現状がある
- 3:厚労省の施策により、2019年から2024年にかけて若者を対象に精神医療の早期介入を試みた事が子どもの医療被害を増加させた
日本国内で展開されている精神医療の質と地域住民に対する早期介入の体制が、医療被害者を増加させており、例えば医師の処方による薬の出し過ぎ、処方薬の副作用に対して認識の低い医師、薬の副作用を認めない医師、コミュニケーション力の欠如した医師など、精神医療の実態を別の角度から赤裸々に綴る事により、世間の人々に対して注意喚起を図っている書籍です。そして、著者が何より問題視しているのは、その医療被害が小さな子どもにまで及んでいるという点です。
精神医療の被害者が増加する要因の1つに、安易に統合失調症の診断を下す精神科医が多発している事が挙げられる
日本の場合、統合失調症の概念がとても広く、またその概念は東京大学准教授の個人的主観によって提唱された概念である為、そもそも科学的物理的根拠なしに安易に診断が下されている現状がある。また、「統合失調症は進行するとどんどん病気が進行して最終的に廃人になる」という根拠のない疾病観が医師の間で根強くある為、その根拠に欠ける片寄った見方が統合失調症という過剰診断や誤診に繋がってしまう現状がある。そしてそれを裏付けるデータとして、某精神科医が統合失調症者を対象にセカンド・オピニオンを行った結果、169名中156名が統合失調症ではなかったという調査データによるものである。
精神医療の被害者が増加する要因の2つめとして、精神科医が安易に薬物療法を施行している現状がある
"日本の精神医療では、多剤多量処方や安易な薬物投与が問題視されており、その要因として精神科医が向精神薬の重とくな副作用を認識していない、あるいは誤認しているという点にある。
そして、例えば長期投薬で薬物依存のリスクが高まるベンゾジアゼピン系薬剤や、アカシジア・錘体外路症状などをきたす抗精神病薬を安易に処方してしまい、その副作用による症状を病気の悪化と判断してしまう医師が多く、結果多剤多量処方に陥ってしまう現状がある。"
厚労省の施策により、2019年から2024年にかけて若者を対象に精神医療の早期介入を試みた事が子どもの医療被害を増加させた
著者が最も問題視する点として、こういった質の低い医療を国の施策によって若者たちへ積極的に展開してしまっている現状がある。そして、学校や医療関係者が引きこもり・不登校などをすぐに精神疾患だと思い込んでしまい、医療へ繋げようとするケースが多発してしまっている為、医療被害にあう子どもたちが増加している現状にある。また、発達障害に関してはその概念が新しい為、的確に診る事のできる医師が少ない事から過剰診断や安易な薬物投与により薬の副作用で苦しむ子どもが増加している。
ルポ精神医療につながれる子どもたちを読んでの感想やレビュー
この書籍を通して、これまで精神医療に対して抱いていた多大な違和感や不信感を払拭する事ができ、またその医療の受け方を一歩間違えると人生を某に降ってしまう程の死活問題である事が伝わりました。また、その医療であってもなくても、当事者やその家族自身が受ける医療やその支援者1人1人をきちんと見極め、信頼のおける支援者の下で両者が納得した上でこうした医療が常に受けられる事が重要だと感じました。そして、その為にも精神医療の質の見直しや向上に向けた取り組みや変革は支援者1人1人に今後求められる課題だと思いました。
ルポ
精神医療につながれる子どもたち
嶋田 和子
この本の内容は子供を持つ人や精神福祉士・教員には必ず読んでもらいたい。
被害が拡大する前に多くの人に現実に起こっている事を知ってもらいたい。 pic.twitter.com/UZJ7PwWvlP— Hippie O.S (@tsubakuro0709) April 4, 2014
嶋田和子氏「ルポ精神医療につながれる子どもたち」彩流社、読了。
センシティブなテーマですが…向精神薬は劇薬指定のものが多く。「処方されたけれどまだ3歳で飲ませて大丈夫か?」と相談されたことがあります。
保護者や本人が十分な説明をうけ、副反応も含め納得し、適量によってQOLが保てるなら pic.twitter.com/EZfT11wOSW— 高口ようこ(こうぐち)/練馬区議会議員 (@koguchiyoko) March 18, 2021
ルポ精神医療につながれる子どもたちがおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 今現在、精神医療に携わっている支援者の方でその医療の現状に納得し、誇りをもって支援を提供している方。
- 精神医療に繋がれている当事者やその家族の方で、主治医の診断や治療に納得し、安心して医療を受けている方
- 精神医療に繋がれている当事者やその家族の方で、今後も前向きに長期的に薬物療法を受けたいとお考えの方
- なし
- なし
日本の精神医療というサービスを多角的により広い視野で見ていくという観点では全ての人におすすめです。しかし、この書籍では論拠としているデータが数限られたものであったり、その医療を一方的にマイナスに捉えて綴ったような内容でもある為、そこにもまた偏った見方が生まれる事から、例えば現在その医療に携わる支援者の方でその現状に納得し、誇りをもって支援にあたっている方、精神医療に繋がれている当事者の方やその家族の方で、主治医の診断と治療方針に納得し、安心してその医療を受けている方、前向きに今後も長期的な治療を受けていきたいとお考えの方々にはあまりお勧めできません。
ルポ精神医療につながれる子どもたちをおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 精神医療の実態を知りたい方
- 精神科医の診断や薬物療法に疑問を抱いている方
- 薬物療法に苦しむ当事者やその家族の方で精神医療を断ち切りたい又はセカンドオピニオンを考えている方
- なし
- なし
"精神科心療内科などで展開されている薬物療法の側面と言えるような実態を知り、それをふまえた上でその道の支援者を目指したいという方には今後そういった現状を変革していってもらう為にも是非お勧めな書籍です。
また、今現在その医療に繋がれている当事者の方やその家族の方で、主治医の下した診断やそれに準じた薬物療法に苦しんでいる方、到底納得できないという方には、今後を考えるきっかけになるような書籍だと思うのでお勧めです。
一方、その医療に繋がれている当事者の方やその家族の方で、その医療を断ちたいと本気でお考えの方やその為に行動にまで移している方、セカンド・オピニオンを本気でお考えの方には、それを後押ししてくれるような内容だと思うのでお勧めです。"