人文・思想

【本要約】特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門

ジャンル: 人文・思想

著者: 坂爪一幸

出版社: 学研プラス

発売日: 2011/8/2

本の長さ: 197ページ

9.0

総合

7

読みやすさ

10

学び

10

面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:発達障害の子どもが今置かれている環境
  • 2:特別支援教育で足りないものを知ること
  • 3:発達障害の子どもとの新たな関わり

広島県にお住いのペンネームぼのぼさん29歳男性(職業:その他)から2021年4月頃に読まれた特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門を読まれたレビューになります。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門のYouTube(ユーチューブ)


「特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門」についてYouTube(ユーチューブ)で紹介している動画がないか調べてみました。
本書の内容を紹介している動画はなかったのですが、
「たかの / 心理学YouTuber」チャンネルで心理学の内容をわかりやすく紹介されているので良ければ合わせて見てみてください。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門の内容

近年、10人に1人が発達障害と言われている時代です。しかし、発達障害に関しての正しい知見を与えてくれる本はなかなかありません。この本は発達障害のある子どもをアセスメントする際に、神経心理学のの視点が必要だと示しています。『空気が読めない』、『椅子に座って授業が聞けない』、『指示を覚えておくことができない』といった子どもたちの背景にあるのは目に見えないハンディキャップです。神経心理学を学び、発達障害の子どもとかかわるためのヒントがこの本には記されています。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門の著者について

著者:坂爪一幸
早稲田大学教育・総合科学学術院教育学部教授。主に、神経心理学・発達神経心理学の研究者である。特別支援教育に携わる方々に神経心理学の視点が必要なことを訴えている。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:発達障害の子どもが今置かれている環境
  • 2:特別支援教育で足りないものを知ること
  • 3:発達障害の子どもとの新たな関わり

発達障害の子どもとかかわる職種の方々には必読といえる内容だと思います。普段感じている「なんでこの子どもはこの行動をとるんだ・・」といった疑問に対して、答えをくれます。筆者曰く「発達障害は脳の機能障害です」とのことです。発達障害の子どもの症状の背景にある脳機能のハンディキャップを知ることで、子どもたちに行うべき支援の道筋が見えてきます。発達障害に関してより踏み込んだ知識を得たい方は手に取る価値はあると思います。

発達障害の子どもが今置かれている環境

発達障害の子どもたちは「怠けている」、「やればできる」といった言葉をかけられやすいです。しかし、実際はそんなことはありません。怠けているわけでも、頑張っていないわけでもありません。そうではなくて、できないのです。その原因は、脳の機能障害です。例えば、耳から聞いた情報を少しの間覚えておく力(ワーキングメモリー)が低い子どもは指示を覚えておくことができません。子どもたちの問題行動の背景には、脳のハンディキャップがあるということを学びました。

特別支援教育で足りないものを知ること

現在、特別支援教育の現場では発達障害に関しての正しい知識や理論が浸透されていません。その結果、子ども一人一人に応じた支援を提供できていない現実を知りました。神経心理学の視点を得ることで、個々の子どもに応じたオーダーメイドの支援を実践するヒントを得られることができます。子どものできないの背景にあるのは努力の不足ではありません。支援者の神経心理学の視点からのアセスメント不足です。正しい知識があってこそ、目の前の子どもに対してのかかわり方を考えることができると学びました。

発達障害の子どもとの新たな関わり

脳の機能障害であることが理解できれば、どこの機能にアプローチしていけばいいかが見えてきます。注意力に障害がある子どもなら、刺激の少ない環境を作る配慮が必要です。視覚や聴覚に困難がある子どもにはその子に合わせた環境が必要です。特別支援教育には、子どもの脳機能をアセスメントし、環境を整えていく姿勢が必要なのだと学びました。出来ないことは多くても、周囲の理解とサポートがある環境を作れば子どもは変わっていくことを学びました。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門を読んでの感想やレビュー

発達支援の専門家として働いていくにあたって、重要な視点を得ることができました。原因を知ることで、子どもとのかかわりや言葉かけの質が高まったように思います。知能検査・発達検査のフィードバックや学校との連携を行う際にも、この書籍を参考にした資料を作成して説明しています。エビデンスのある支援を実行するためのヒントをたくさん得ることができる名著なので、一人でも多くの方に手に取っていただくことを願っています。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 専門用語が苦手
  • 発達障害の方となじみがない
  • 理屈はいいから発達障害の子どもとの関わり方を簡潔に知りたい
  • なし
  • なし

基本的に発達障害に関して知識を得たい人におすすめですが、専門用語が苦手な人、発達障害の方となじみがない人、理屈はいいから発達障害の子どもとの関わり方を簡潔に知りたい人にはお勧めしません。専門用語が多く、実際に関わったことがない人からすればイメージがわきにくいからです。また、原因を考えることができますが、その後のかかわり方までは記されていないので、「今すぐ何とかしたい!」といったような人にはおすすめできません。

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 小学校教員
  • 放課後等デイサービス職員
  • 臨床心理士/公認心理師
  • 発達障害の子どもの保護者
  • 発達障害の当事者

発達障害の方とかかわる機会のある方、すべてにおすすめいたします。関わっていく中で、「なぜこうなるんだ・・」と思うことが山ほどあると思うからです。その時、「あいつは変な奴!」で終わらしてしまうと、その人は支援を受けられないことになってしまいます。大切なのは、正しい原因を知ることです。原因がわかれば、今後どのようにかかわっていくかを考えることができます。その原因を考えるにあたってこの本が非常に参考になります。神経心理学から発達障害の人の世界を知る糸口になります。お互いが歩みよるためにもこの本から正しい知識を得ることをおすすめいたします。







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