ご紹介する本
総合
読みやすさ
学び
面白さ
この本から学べるポイント
- 1:イタリア料理の歴史
- 2:現在の世界の食文化の不透明さや疑問点
- 3:イタリア料理の食に対する先入観がいい意味で崩れたこと
埼玉県にお住いのペンネームINさん34歳女性(職業:その他)から2021年10月頃に読まれたねじ曲げられた「イタリア料理」を読まれたレビューになります。
ねじ曲げられた「イタリア料理」の内容
この本は、著者のイタリア人ファブリツィオ・グラッセッリが、イタリアの食に関する先入観や誤解について述べ、イタリア料理だけでなく食全体についての新しい見方を読者に示している本です。建築家やイタリア語教師といった肩書きの著者ではありますが、料理への情熱も並々ならぬもので、イタリア料理へのさまざまなトピックをこの本の上で熱烈に書ききっています。イタリア料理を通して、良識のある食文化とは何か、ということまで語っています。
ねじ曲げられた「イタリア料理」の著者について
著者:ファブリツィオ・グラッセッリ
1955年イタリア・クレモーナ生まれ。ミラノ工科大学卒業。建築家として活躍後、来日し、日本に永住する。イタリアの文化団体ダンテ・アリギエーリ協会東京支部会長、イタリア語学校「イル・チェントロ」校長。
ねじ曲げられた「イタリア料理」本の要約
この本から学べるポイント
- 1:イタリア料理の歴史
- 2:現在の世界の食文化の不透明さや疑問点
- 3:イタリア料理の食に対する先入観がいい意味で崩れたこと
イタリアの料理の歴史や現実について、イタリア人著者が書いているものです。トマトはイタリア生まれではないとか、ピッツァやコーヒーの文化がイタリアに根付くまでの歴史だとか、普段私たちがおいしく楽しく食べているイタリア料理の実態について、なかなか知る機会のないことについて書かれています。農業生産額、食物の輸出入、食料マーケットといった言葉もでてきて、現在の食文化について語られています。また、写真やイラストがないものの、文章自体は読みやすい本です。
イタリア料理の歴史
トマトソース、ピッツァ、パスタ、オリーブオイル、コーヒーといった、イタリアの食文化を代表する食品たちの歴史が丁寧に描かれており、普段食べているものがどのように生まれてどこから来たのかを知るいい機会となりました。中国産トマトがイタリア産トマト缶として販売されているからくりについてなど、イタリアの料理界ではホットな話題についても書かれていました。オリーブオイルも、今は香り高いものがいいものといわれるけれど、昔はそうでなかったとか、時代によって価値観が変わるのだなと思いました。
現在の世界の食文化の不透明さや疑問点
この本は、最初の方はイタリアならではの食べ物の歴史について語っていましたが、後半になると、利益を求めて無理な輸入をすることや、色が変わるほど保存料などを入れるなど、自然に反して体に悪い食文化を続けていく現代社会に警鐘を鳴らしている、という内容でした。自分たちの健康のために、今の食を見直してみましょう、という提案がなされています。日本人はカップラーメンやコンビニ弁当など普段食べていますが、そういうのもどうなのだろうなと改めて考える機会になりました。
イタリア料理の食に対する先入観がいい意味で崩れたこと
トマトは伝統的なイタリアの食べ物のように思われているが、実は元々はイタリアにはなく、トマトソースでパスタやピッツァを作るようになったのはつい最近のこと、というような、イタリア料理のベースとなる食べ物が、実は伝統的なものではなかった、という話がいくつも出てきます。また、スローフード運動や地中海式ダイエットといった、現代の食文化のホットな話題についても迫っており、その実態がどのようなものであるのか、知ることができました。
ねじ曲げられた「イタリア料理」を読んでの感想やレビュー
イタリア人がイタリア料理についてのみ一冊まるまる語る本は、なかなかないと思います。しかもこの本は、イタリア料理の光と影両方に焦点を当て、ただ単にイタリア料理万歳といった本ではありません。イタリア人ならばこそのリアルな視点で実態が書かれており、また、著者の小さい頃に家族がどう料理していたかという記述がよく出てきて、それが結構面白かったです。この著者は「イタリア人と日本人、どっちがバカ?」などイタリア関連の本を他にも出しているそうで、別の本も読んでみたいです。
ねじ曲げられた「イタリア料理」がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 料理に興味のない人
- イタリアに興味のない人
- 写真やイラストなどが全くない本を読みづらく感じる人。この本は文章しかありません。
- 「イタリア料理はこうじゃなきゃ!」といった先入観を信じすぎたり、常識を捨てられない人
- 疑いなく世界一の料理なのは日本料理だと思っている人
まずこれはイタリアに関する本で、また全てのページが料理にまつわる話題で埋まっているため、イタリアにも料理にも興味のない人が読みきるのはつらいものがあると思います。イタリア料理に関する先入観を揺らすような内容がかなり書かれているので、美しく正しいイタリア料理といったものを信じている人にはおすすめできません。また、文章は口語調に近く読みやすいものなのですが、写真やイラストが一切ないため、字しかない本が苦手な人には苦しいかもしれません。
ねじ曲げられた「イタリア料理」をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- イタリアが好きな人
- 料理や食文化に興味がある人
- 料理の中でも特にイタリア料理に興味があり、さらに見識を深めたいと思っている人
- イタリア人が書いたイタリア料理の本を読みたい人
- 食にまつわる先入観を打開したい人
イタリア、料理、食文化、現代の食文化への疑い、そういったものに興味がある人なら楽しめる本だと思います。普段食べているピッツァはどういう歴史を経て今のような料理となったのか?とか、イタリアのエスプレッソコーヒーとアメリカのアメリカンコーヒーの違いってそもそも何なんだ?とか、そういった疑問を持っていて、真実をよく知りたいと思っている人にぴったりの本です。イタリア人が思う本場のイタリア料理の世界が垣間見えます。