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「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」
ジャンル: ノンフィクション, 思想・社会
著者: ヴォルフガング・シュナイダー
出版社: 大日本絵画
発売日: 1996/10/1
本の長さ: 463ページ
この本から学べるポイント
- 1:戦争を違う観点から見ることができた
- 2:戦車を単体で見るより、部隊という単位で見ることができた
- 3:部隊章や部隊ごとのマーキングや塗装
神奈川県にお住いのペンネーム二等兵さん52歳男性(職業:経営者・個人事業主(自営業))から2022年6月頃に読まれた「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」の内容
第二次世界大戦中のドイツ軍で編成された「重戦車大隊記録集」です。重戦車大隊記録1巻は「陸軍編」、2巻は「SS編」となっていて、「タイガー戦車」など、どこかで聞いたことがある戦車だけで編成された部隊の実録です。編成された日付けや車両の台数からはじまり、それぞれの「大隊」の戦歴を日付けごとに追っていく、貴重な書物です。写真や各大隊の塗装やマーキングも事細かに記されており、ドイツ軍オタクとしては必携の書と言えるでしょう。
「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」の著者について
著者:ヴォルフガング・シュナイダー著者は戦後の生まれですが、西ドイツ陸軍に奉職し、この書が翻訳され発行された1996年には、国防省陸軍参謀部、戦車調達部に在籍しています。YOUTUBEを変換
「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」本の要約
この本から学べるポイント
- 1:戦争を違う観点から見ることができた
- 2:戦車を単体で見るより、部隊という単位で見ることができた
- 3:部隊章や部隊ごとのマーキングや塗装
全編を通していえるのは、①その部隊に配備されている車両の半分以上が常に修理中であること(中には前線に届く前にエンジンより出火の例もあり)②保有数と稼働車両の数を明記していること③無謀な作戦の多さに驚く(ただでさえすぐ故障する「重戦車」をロシアからイタリアまで運ぶ際に、山がちなイタリアを自走させ、案の定、故障頻発)④1944年夏以降は、燃料不足で行動不能となり自軍により爆破されるケースが増えること⑤数少ない稼働車両の活躍により、どの大隊も撃破した敵車両は3桁を下回る部隊はない⑤その他、有り余る武勇伝とおちゃめなエピソードが散見されます(タイガー戦車1両、捕獲される、とサラっと報告していたり等)。アニメや映画と違って、実際にタイガー戦車等で編成された部隊の実像を見ることができます。
戦争を違う観点から見ることができた
戦争は、悲惨であることはわかっておりますが、どのような戦いをどのような兵器を用いてどう運用し、その対象を限定した本著作のような実録集はそう滅多にあるものではなく、多くの戦争の本はたとえば○○の戦いに絞った著作が多い中で、「大隊」の編成から終戦までを追った本著は賞賛に値します。陸軍編でも501から510までの大隊を編成し、SSでは101から104を編成(SS編ではその他各種の部隊も紹介)、終戦までのそれぞれの「大隊」の歴史を見ることができました。
戦車を単体で見るより、部隊という単位で見ることができた
戦車の性能、と一言で言っても燃料があり、弾薬があり、操縦手、無線手、照準手、装填手、指揮官があってはじめて活躍することができ、修理する部隊も必要不可欠です。50トンの車体が雪解けの泥濘地帯でエンジンに負荷をかけすぎるとたちまち故障します。数々の武勲を立てる部隊の脇道に、補給部隊があり、修理部隊が存在し、彼らなくしては武勲は上げられることはなかったでしょう、この本には、写真も多く掲載され、橋を渡ろうとしたところ、橋が崩れ横転したり水没した写真も豊富です。
部隊章や部隊ごとのマーキングや塗装
敵味方を識別するにあたって軍服やヘルメットは国ごと、もしくは部隊ごとに統一化されていますが、大隊という単位は、通常、師団を構成するものですが、この「重戦車大隊」は、師団よりも上部組織である「軍」または「軍集団」管轄で、火消し役として、いろいろな師団に派遣されていました、したがって「重戦車大隊」という単位で独自の記章があり、塗装があり、マーキングがあります。マニアックなAFVプラモデルファンには、とても参考になることは疑いようのない書物です。
「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」を読んでの感想やレビュー
最近は、この手のマニアックな本自体の出版が少なくなってきており、私も中古で仕入れたくらいです。この書を手にする方は、歴史に立ち会うことになるでしょう。歴史というと偉い人(特定の武将や政治家)を中心にまわりますが、どんな歴史でも戦争は避けて通れず、一番したっぱの兵隊がいて成立します。その兵隊がどんな武器を持ち、どのように運用されたのか、その「現場」を知ることができます。武勇伝の背後には、補給部隊と修理部隊の懸命な努力があるのを知ることになるでしょう。
「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 歴史に興味がない人
- 戦争に興味がない人
- ドイツ軍と聞いただけでうんざりする人
- なし
- なし
基本的にすべての人におすすめですが、歴史に興味のない人やドイツ軍と聞いただけでうんざりする人、戦争に興味がない人にはおすすめしません。この書は戦争は悲惨なものだとよく知悉していて、しかし戦車やその運用に興味がないと値段も高く、無理にすすめても、あとでうらまれそうな気がします。さいわいにも書店等でこの書を見かけ、タイガー戦車、ってどっかで聞いたことがあるな、どんなものだろうか、とふと手に取るレベル以上の方でないとおすすめしません。
「重戦車大隊記録集」第1巻「陸軍編」、第2巻「SS編」をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- プラモデルファン
- アニメファンでタイガー戦車に興味を持った人
- 戦場の歴史を深堀したい人
- なし
- なし
プラモデルファンなら、部隊ごとのマーキングや塗装の仕方などこの本では詳細に書かれていますので、タイガー戦車をプラモデルで作成する際にはよき手本となるでしょう。写真も豊富なのでジオラマ造りの参考にもなるでしょう。アニメファンで、タイガー戦車に興味を持った人には、その実像が手に取るようにわかるので是非、読んでほしいなと思います。アフリカ戦線から極寒のロシア東部戦線やフランス、イタリアで獅子奮迅の戦いをする傍ら、ちょっと無理をするとすぐ故障する部隊には、修理中隊を欠かせず、保有台数の半分が稼働すれば御の字という状況は、ドイツ軍オタクでも驚きました。