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この本から学べるポイント
- 1:障害者が子供を持つ事に対しての倫理観を学んだ。
- 2:幸せの本質は人それぞれだということ。
- 3:欠落した物を抱えた者でも集まれば生きる希望になるということ。
東京都にお住いのペンネームえびしさん27歳男性(職業:会社員・職員(正規雇用)?)から2022年8月頃に読まれた夜の道標を読まれたレビューになります。
夜の道標の内容
"1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害されました。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶのですかま、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていません。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。
それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。
それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていくことになります。"
夜の道標の著者について
著者:芦沢央
1984年東京都生まれです。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビューしました。
夜の道標のYoutube
「夜の道標」についてYouTube(ユーチューブ)で紹介している動画がないか調べてみました。
「杉江松恋チャンネル「ほんとなぞ」」チャンネルで紹介されているので良ければ合わせて見てみてください。
夜の道標本の要約
この本から学べるポイント
- 1:障害者が子供を持つ事に対しての倫理観を学んだ。
- 2:幸せの本質は人それぞれだということ。
- 3:欠落した物を抱えた者でも集まれば生きる希望になるということ。
"障害児の支援を行う塾講師?戸川は元教え子の阿久津に殺害される事で、行方を匿う豊子と、父から虐待を受ける波留との運命が絡み合う物語になります。
障害を持つ者が子供を持つと不幸になるという旧優生の思想の元で、実母から去勢された阿久津。
旧態依然としたその考え方は、障害者の未来を奪う物だと思いました。
旦那と離婚し失う物が何も無い豊子に匿われます。
不妊治療を行う物も子を授かる事が出来ない豊子は阿久津にシンパシーを感じる場面ではかなり感情を引き込まれました。
そして、父親から金銭を巻き上げる当たり屋としての人生を強制される波留。彼らは未来を選べない場所に追いやられ、狭い地下室に集います。
警察に追われる絶望感と何故恩師を殺害したのかが、登場人物と共に徐々に明らかになっていく様は、苦しくてもページをめくる手が止まりませんでした。
それぞれの苦しみと痛みの中で互いが道を照らす標となっていたのが、唯一の希望でした。"
障害者が子供を持つ事に対しての倫理観を学んだ。
"障害者が子供を持つ事に対しての倫理観を学びました。
障害を持っていても家族の契を結び、仕事に子育てと立派にやっていられる方は世の中にたくさんいます。
その一方で、障害の特性故に社会と上手くやれず、孤立してしまう障害者もいます。
しかし、そんな生まれ持ったハンディキャップによって、自分のこれから先の長い人生、大切な人と結ばれる運命がないがしろにされてもいいのでしょうか?
昨今は障害に対しての認知は高くなった物のまだまだ、無理解ゆえの偏見が蔓延っているように思います。"
幸せの本質は人それぞれだということ。
"幸せの本質は人それぞれだということを学びました。
物語で、障害があるからこそ、実母に去勢手術された阿久津は旦那と離婚した豊子に匿われる中で、関係を築いていきました。
その一方でバスケットボールの才能に恵まれていたのにも関わらず、父親のネグレクト、果ては当たり屋としての人生を強制される波留を見ていると本当にかわいそうに思いました。
人に対しては、その内情をよく知りもしないのに、価値観を押し付ける傾向があったのですが、人の幸せとはその人、本人が決める物なんだとつくづくと思い知らされました。"
欠落した物を抱えた者でも集まれば生きる希望になるということ。
"欠落した物を抱えた者でも集まれば生きる希望になるということを学びました。
誰でも人と比較すれば、足りない自分の欠点というものがあります。
あの人のようになれたら、自分のこんなところがなくなればと夢想して孤独な気持ちになるのですが、そんなときにこそ、自分の弱みや傷を他人にさらけ出してみることで、意外な共通点や、眼からウロコが出るような気付きを見つけるチャンスが巡ってくると思います。もっと、公にそういったコミュニティが増えると良いなと思いました。"
夜の道標を読んでの感想やレビュー
"最後にアンケートにお答えいただいた書籍の感想としては、
障害に対する偏見や、ネグレクトに題する知識が純粋についたと思ったのです、単純に読んで良かったと思います。
こういった家庭の内情を知る機会は、リアルではほぼまったくと言っていいほど無いので、それぞれが抱える痛みや辛さ、社会に息苦しさを感じているときほど、この本を読んで他人の痛みに対して共感して優しくなれる感性を磨いていきたいとつねづねと思い知ることが出来ました。"
女に匿われ半地下に身を潜める殺人容疑の男。彼を追う刑事達。父親の虐待と貧困で、好きなバスケットボールさえ詐欺に利用される少年。
次第に絡み合う彼らの人間模様からは、善悪を一概に割り切れない思いが募る。時の流れは合法とされた法律でさえ変えるのだから。#寝読部 pic.twitter.com/P7R5AJPmJX
— なな (@uminoshirabe) December 14, 2022
凄まじい作品でした…!
『夜の道標』#読了
序盤からへビーな数人の人間ドラマが展開されて、この物語がどう繋がっていくるだろうと思ったら…まさか。ほぼ知らなかったことを知れたので、すごく勉強にもなりました。芦沢さんの作家10周年記念作品。ファンとして、より多くの人に届くと嬉しいです。 pic.twitter.com/1HQNpYHm2k— けんご📚小説紹介 (@kengo_book) September 19, 2022
夜の道標がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 今の自分に不満を持っていない人。
- 他人などどうでもいい人。
- 障害を偏見する人。
- 暗い話しを読みたくない人。
- 人生が満ち足りている人。
"おすすめではないと思った5つのポイントの理由については、
?今の自分に不満を持っていない人。
?他人などどうでもいい人。
?障害を偏見する人。
?暗い話しを読みたくない人。
?人生が満ち足りている人。
基本的に色んな人に読んでほしい本になるのですが、あえておすすめしない人をあげるとするならば、今の自分の状況に違和感を持ってない人にはこの本で描かれている痛みや苦しみはあまり、ピンとこないかもしれません。人と上手く付き合える人にはおすすめしません。"
夜の道標をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 障害を持っている人。
- 今の社会に息苦しさを感じている人。
- 他人との距離感が分からない人。
- 親に虐待されている人。
- これから先、どうやって生きて行こうか迷っている人。
"おすすめに思ったポイントとしては、この本はもっと恵まれない、どん底におちいって絶望している人に読んでほしいと率直に思いました。
人それぞれ、絶望の種類は違うと思うのですが、他人の絶望を知ることで、他人の痛みに気づくことが出来る、他人の痛みに敏感になり優しい行動を取ることが出来るようになると思います。
人は余裕がないときほど、視野狭窄におちいって周りの存在をないがしろにしてしまいがちですが、そんなときにこそ、深呼吸して、自分を俯瞰して見ることによって、自分は今、これが辛いんだなぁ、これが苦しいんだなと客観的に自分を見ることが出来るようになると思います。"