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読みやすさ
学び
面白さ
この本から学べるポイント
- 1:あなたの中には善の泉がある、と肯定してくれる素晴らしさ
- 2:自然と一致して自然になる時、神々の世界が表れる
- 3:苦しみの原因は他人ではない、自分だ
神奈川県にお住いのペンネームtakeshiさん36歳男性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2022年2月頃に読まれた100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月を読まれたレビューになります。
100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月の内容
"古代ローマの皇帝マルクス・アウレリウスの思想を解説した一冊です。
戦いに明け暮れ、人間同士の殺し合いや醜い現実を目の当たりにしていながら、彼の哲学は、寛容と共生の思想にあふれています。
「自分の内を掘れ。そこには、常に善の泉がある」という言葉などは、彼の優れた精神を表しており、彼のこのような言葉に感じ入る事のある方なら、本書を楽しめるかもしれません。
殺伐とした戦争に身を置きながら、このような穏やかな精神を持つ事ができたのはなぜなのか。戦いという人間の殺し合いの最中に、人間の心には常に善があふれているという正反対の思想に至ったのはなぜなのか。そこに、アウレリウスの非凡な一面があると思いますし、そのような見方をしながら本書を読むと、得られるものもあるのではないか、と思いました。"
100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月の著者について
著者:岸見一郎
"1956年生まれの京都大学で哲学を学んだ先生です。大学院の頃に母親が倒れた際、学校を休んで看病を続け、母の病状をノートに書きとめていたというエピソードからは、同氏の人の良さを伺い知る事ができると思います。
西洋哲学を専門としており、「嫌われる勇気」などの本がベストセラーになった事もあり、優れた思想を持つ作家として有名な先生です。"
100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月本の要約
この本から学べるポイント
- 1:あなたの中には善の泉がある、と肯定してくれる素晴らしさ
- 2:自然と一致して自然になる時、神々の世界が表れる
- 3:苦しみの原因は他人ではない、自分だ
"古代ローマの皇帝がどのような考えを持っていたのか知る事ができる一冊として、とても貴重な本だと思います。アウレリウスの思想を分かりやすく解説してくれているので、初心者でも読む事ができます。
例えば、「お前がこんな目に合うのは当然だ。今日善くなるよりも、明日善くなろうとしているからだ。」といった言葉が記されているのですが、このような言葉を思いつくに至った皇帝の謙虚さ、誠実さに思う所のある方には、とてもおすすめできる一冊だと思います。皇帝というのは、普通、とても威張った人物が多いような気がするのですが、戦争に明け暮れる日々の中で、アウレリウスは、このような謙虚で誠実な思想を抱いていました。その思想の内容を知りたい方には、楽しめる一冊となっています。"
あなたの中には善の泉がある、と肯定してくれる素晴らしさ
"本書にある優れた言葉の数々は、なかなかレベルの高い物ばかりです。例えば、自身の内を掘れば、そこには常にほとばしり出る善の泉がある、という言葉や、情念から自由な精神は要塞である、という言葉など、感慨深い教えが多数収録されており、なかなか面白いのではないか、と思います。
自身の内には常に善の泉がある、という言葉は、自分とは何と駄目な人間だろう、悪い奴だ、と思っている人にとって、救いとなる言葉ですし、常に善があると肯定している所に思想的な良さがあると思います。
また、情念から自由な精神は要塞である、という言葉も、常にイライラしていたり、落ち着きがない時、そのような自我から自由になる事の大切さに気付ければ、確固として安定した精神の要塞がある事が分かり、得られるものもあるのではないか、と思います。
一方、これに対して、夏目漱石は、周囲を受け入れない頑なな自我を要塞と表現しており、マルクスが自我から解放される優れた状態を要塞と言った一方で、漱石は自我にこもる事を要塞と呼んでおり、両者の考え方の違いが際立っていて、面白いのではないか、と思いました。"
自然と一致して自然になる時、神々の世界が表れる
"この本で語られているもうひとつ面白い思想として、自然と調和して生きる、というものがあります。
アウレリウスが学んだストア哲学では、最も大切な教えとして、自然と一致して生きる、という考えがあります。自分の自然と宇宙の自然がひとつとなる時、真の調和が生まれるとされており、これなどは面白いのではないか、と思いました。
そのような時、宇宙の内にある人間は、宇宙の法則の一片を所有しており、ゼウスが自分の分身として世界に放った知性を求め、それを持つとき、人は神々と共に生きている、とアウレリウスは述べています。
人が怒りや苛立ち、落ち着きのなさに陥っている時、自然な状態を意識してそれらを自分から取り去っていくというのは、良く生きる上で重要なポイントだと思います。
そして自然な状態を保ち自然になる事が宇宙の知性であり、ひいては神々と共に生きる上でのヒントになる、というのは、話が壮大でありながらどこかに説得力があり、そのような境地を目指せたらいいだろうな、と思わせるような面白さがあります。
このような思想は、私がこの本を読んで学んだ事であり、優れた考えなのではないか、と思いました。"
苦しみの原因は他人ではない、自分だ
"山奥に暮らす仙人の話はよく聞きますが、彼の自省録を読むと、アウレリウス自身もそのような場所を大いに求めていたようです。戦争に明け暮れ、裏切りなど人の醜い部分を目の当たりにしてきた彼にとっては、それも当然なのかもしれません。しかし、彼は閑居に引き込もる事を否定しており、そうしたくなった時には、自分の内に憩えばいい、と述べています。
私なども、ひどく疲れている時などは、本などから学んだ回復法を行っており、例えば、南無阿弥陀仏を唱える、呼吸に意識を集中し続ける、気持ちがリラックスしている、のんびりしている、と唱え続ける、といった事で、自分の内に憩い、回復するようにしています。
私の場合は、それでも環境が嫌になり、愚痴のひとつも言ってしまう事があるのですが、アウレリウスの場合、戦争やドロドロの人間関係に身を置きながら、優れた高潔な精神を持ち続け、常に善くあろうと心がけ、自分の中に良いものを保ち続けた人物でしたから、かなり立派な精神の持ち主だったのではないか、と思います。
不幸な事があると、人々はその原因を自分の外側に求めがちですが、アウレリウスは、自分の心の動きに注意を向けない人が不幸である事は必然である、と述べており、不幸は自分の内から生じるものだ、と考えます。
このような、苦しみの原因は、他人ではない、自分だ、と考える彼の高潔な精神には学ぶべきものがあると思いました。"
100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月を読んでの感想やレビュー
"アウレリウスの学んだストア哲学では、怒りと悲しみの中で自分を見失う事なく、心の平安を保つ事が幸福であると考えます。アウレリウスは、心のこのような在り方をアパテイア(不動心)と言って大切にしているのですが、これはとてもいい考えだと思いました。これは、日本の仏教などの中にも見出す事のできる考えであり、仏教でも心の平穏を求める思想は重要視されています。古代ローマの哲学と仏教は、相性がいい部分もあるのでしょうか。
普通の人が、怒りや衝動、行動力を力と考える一方で、アウレリウスは、不動心に近ければ近いほど、力にも近いと考えました。悲しみも怒りも、傷つき屈服してしまっているという点において、弱さである、と彼は言います。
これは、怒りにも悲しみにもとらわれない心身の自然な状態が理想である、という先ほどの思想と共通する部分があり、面白いのではないか、と思うのですが、このような所から、私も心身を自然な状態に保ち、不動心を身につけながら穏やかな生活を送っていけたらいいな、と思いました。"
これは原著と共に購入
このお値段で、この内容はNHKの知へのプライドだお思います『NHK 100分 de 名著 マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年 4月 [雑誌] (NHKテキスト)』(NHK出版 日本放送... 著) pic.twitter.com/EbESsFcC1W
— GAN@入院生活 (@GeeK_GAN) April 15, 2019
マルクス・アウレリウス「自省録」のNHKテキスト100分de名著がとてもいい。著者岸見一郎先生の専門はアドラー心理学で、ストア派と思想的に近しい。平易な語り口で本質に触れた良著。人生の折節におすすめ。 pic.twitter.com/c2CeMt6xES
— sunao(河本 静香) (@sunao_bag) April 27, 2022
100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 哲学に興味のない方
- 自省録を詳細に知りたい方
- 自省録を既に読んでいる方
- 上級者向けの哲学の本が読みたいという方
- 成長したいという意欲があまりない方
"ローマ皇帝の書いた人生をよく生きるための哲学の本ですので、哲学に興味のない方は楽しめないかもしれません。また、自省録の内容を抜粋して、初心者にも分かりやすく解説してくれている本ですので、自省録の内容を既に知っていて理解している方や、自省録を精読したいという方には向かないかもしれません。
内容としましても、基本的には良く生きる上での心得を書いた本ですので、自分を成長させたい、成長できる思想・考えを知りたい、という方には得る物が大きいと思いますが、そのような考えに興味のない方には、つまらない内容と言えるかもしれません。
すでに充実した人生を歩まれている方は、それでいいかと思うのですが、人生の意味を知りたい、さらに成長したい、という方には、その手助けになるいい本だと思います。"
100分de名著マルクス・アウレリウス自省録 2019年4月をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 古代皇帝の考え方を知りたい方
- 哲学に興味がある方
- 最高権力者の皇帝が自省して威張らない事に興味がある方
- 自省録を分かりやすく読みたい方
- 自省録を手軽に読みたい方
"この本は、古代ローマ皇帝が書いた哲学書の解説を行う本ですので、そこにピンポイントに興味がある方にはおすすめできる一冊だと思います。
戦争に明け暮れる日々を送る皇帝は、自分を戒めるために何を考えていたのか。戦争という状態にありながら、なぜ彼は猛々しい言葉ではなく、謙虚で誠実な自省録を書き続けたのか。そのような彼の内面に惹かれるものがあるという方は、間違いなく得るもののある一冊に仕上がっていると思います。
また、100分で読めるという事を売りにしているシリーズの本なので、確かにお手軽に読む事ができます。しかも、初心者でも読めるように分かりやすく書かれているので、マルクス・アウレリウスの「自省録」を分かりやすく手軽に読みたい方には、最適な一冊なのではないか、と思いました。"