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読みやすさ
学び
面白さ
この本から学べるポイント
- 1:自分の外側の価値観だけでなく、内部にある素晴らしいものに目を向けてみる
- 2:非生産的な祈るという行為の偉大さについて
- 3:仕事を辞めたい、しかし、同僚は辞めたくないらしい、なぜか?
神奈川県にお住いのペンネームtakeshiさん36歳男性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2021年7月頃に読まれた一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きるを読まれたレビューになります。
一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きるの内容
"一休さんの残した仏教的な言葉をもとに、著者である境野勝悟さんが、卓越した物の考え方、見方、生き方について、色々とためになる話を教えてくれるのが、この本の特徴です。
その教えには、著者の優れた人間性が表れていて、読んでいて、ありがたい気持ちになる、優れた体験をもたらしてくれる、著者の良心を肌で感得する事ができる、というような、ありがたくて、大きな良心を見い出せるような優れた一冊だと思います。
“私は、禅を知るまでは、自分は頭で生きていると思い続けてきた。しかし、坐禅を組んでからは、身体の働き、大自然の力に活かされているという事が分かってきた。”
このような著者の言葉に少しでも興味が湧いたのなら、ぜひ読んでみる事をおすすめします。"
一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きるの著者について
著者:境野勝悟
"1932年に生まれた人生経験豊富な哲学者、作家であり、教員としても長く活躍されていた先生です。その来歴から分かるように、この本を読んでいると、そこにあるありがたい考えや、良心的な教えの数々を得る事ができ、そこからも、境野勝悟さんの優れた人間性をうかがい知ることができるのではないか、と思います。
「超訳 菜根譚」「人生を支える禅の名言」「利休と芭蕉」など15冊以上の著作を記されている大家であり、この本に記されている卓越した知性を見るだけでも魅力のある方だと分かるような、優れた人物だと思います。"
禅のYouTube(ユーチューブ)
「アウトプット大全」についてYouTube(ユーチューブ)でわかりやすく解説してくれている動画がないか調べてみました。「禅」について解説をしてくれているものがないか検索してみました。すると
「大愚和尚の一問一答」にて「禅」についての考え方を紹介されているので、是非一度目を通してみてください!」
一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きる本の要約
この本から学べるポイント
- 1:自分の外側の価値観だけでなく、内部にある素晴らしいものに目を向けてみる
- 2:非生産的な祈るという行為の偉大さについて
- 3:仕事を辞めたい、しかし、同僚は辞めたくないらしい、なぜか?
一休さんの言葉を中心に、著者が禅や仏教から得た知見が、著者なりの言葉で語られている一冊です。
基本的には、良く生きるための方法が内容の大部分を占めており、中には、実際に役立つ教えも多数あります。
例えば、ひとつひとつの呼吸を大切にしていると、心がゆったりと落ち着き、気持ちを安定させる事ができる、と書かれていて、それを実践してみると、確かに気持ちが穏やかになる事が分かります。
このように、仏教的な穏やかな心を持つ方法、安らかに生きる方法などが内容の大部分を占めていて、読んでいてこれはありがたい書物だ、と思えるような、とてもいい本だと思います。
自分の外側の価値観だけでなく、内部にある素晴らしいものに目を向けてみる
私達は、基本的に自分が何を持っているか、どういった環境に置かれているか、という事ばかり考えて、それが全てであるかのように考えてしまう事があります。
しかし、著者は、それだけが全てではない、と、より優れた視点で物を見る事を教えてくれます。著者は、人間はふたつの目を持っていると言います。ひとつは外を見る目。もうひとつは自分の中を見る目です。
自分が何を持っているか、どういった環境にいるか、といった事は全て自分の外の出来事であり、外の価値観であり、自分の中については、一切考えられていません。
そこで、自分の中にある価値について考えてみるとどうでしょうか。自分の中では、呼吸や心臓の動きなど、あらゆる生命活動が行われていて、現代人の力も及ばないほどの叡智が体の中で繰り広げられています。それらが、何の見返りもなく動いています。大自然の豊かな働きが、身体の中で静かに動いています。
このように自分の中を見つめる時、外側の宝物をいかに高く積み上げてもかなわない宝物が、自分の内側にある事に気付くのではないか、と著者は言います。そして、このような時、大自然の偉大さを理解する事ができるのではないか、と言います。
その自分の内側にある大自然の働きに感謝できれば、豊かな心を育んでいく事ができるのではないか、そこから見えるものもあるのではないか、と著者は述べていて、これはいい教えかもしれない、と思いました。
非生産的な祈るという行為の偉大さについて
阿蘇山の守り神の阿蘇神社が、阿蘇山の噴火で火山灰を浴びている。ひとりの老婆が、阿蘇神社に賽銭を入れ、崩れるように座りながら、しぐれ雨の中を祈り続けた。
「ああ、神さま、お気の毒に。ああ。かわいそうに。どうぞ立ち直ってください」
そのような老婆の姿を見た時、著者は、老婆の信仰心に痛く敗北した、と言います。
現代社会を生きていると、大きな信仰心などとは無縁な生活を送る方も多いのではないか、と思います。
しかし、スポーツ選手が、競技前に一心に祈りを捧げている様子を見ると、そこに偉大な精神を見い出す事ができますし、宗教を信奉する人々が日々祈りを捧げている様子には、どこか神聖なものがあります。
私たち日本人は、あまり宗教を重んじてはいませんが、祈るという行為には、どこか軽んじる事のできない、優れた神聖な要素が含まれていると思います。
祈った所で何かが大きく変わるわけではなりませんが、祈る事で確かめられる何かがある、というような気がします。
特に、科学技術が発達した現代社会においては、非現実的で利益のない祈りという行為は疎かにされがちですが、そこにある精神に注目してみると、ないがしろにはできない優れた行為である事が分かるのではないか、と思いました。
仕事を辞めたい、しかし、同僚は辞めたくないらしい、なぜか?
仕事で働いていると、もうこんな仕事辞めてしまいたい、と思う事があります。残業も多いし、職場の人間関係も良くないし、良い所などひとつもないように思える。そんな仕事はこれ以上続けられない、と思う事もあるかもしれません。
しかし、著者は、そんな心境に陥った時は、周りを見てみよう、とアドバイスします。あなたが辞めたいと思った職場は、大部分の人が辞めないで働いている職場であり、同じ環境でにこにこ笑って、楽しそうに働いている人もいるのである。考えるべき問題はそこだ、と言います。
なぜ自分は辞めたくて、他の人は辞めたくないのか。その他大勢の同僚が、辞めずに働いているのはどういう訳か。
そのような事を考えるに至れば、案外職場の良い所が見えてくるかもしれません。実は、仕事が大変でも給料が良かったり、人間関係が良くないと思っても、普段接点の少ない同僚と話したら仲良くなって楽しかったり、少し見方を変えれば、嫌な職場にも良い所がある事が分かるのではないか、と思います。
良い所が全くない職場などほとんどありません。もう仕事など辞めてしまいたいと思ったら、少し見方を変えて、良い所を見るようにすると、あんがい気持ちも変わるかもしれません。
著者の教えからは、自身を取り巻く環境について、優れたものの見方を教えられたような気がしました。
一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きるを読んでの感想やレビュー
一休さんの言葉を借りて、仏教の教えを説いた本である事は間違いがないのですが、この中にはそれ以上の優れた何かが内包されているような気がしました。それは、著者が、生身で体験してきた人生の教えかもしれませんし、禅の神秘的な思想の一端なのかもしれません。
しかし、読んだ後に、ああ、読んでよかった、得る物の多い良い本だった、と思えるのは確かであり、その点、本に知性と良心を求める読者にとっては、裏切る事のない優れたできばえに仕上がっていると思いました。
座禅をする時、ただ坐っているだけでいい、それだけでありがたい効果がある、という著者の教えや、呼吸ひとつひとつに意識的になるだけで、心は大きく穏やかになる、という教えなどは、誰もがすぐに実践する事ができる知恵であり、そのような安らぎを得る事に興味のある方なら、楽しめるのではないか、と思いました。
とてもいい本だと思います。
一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きるがおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 仏教的な物の見方が苦手だという方
- お坊さんの説教など聞きたくない、という方
- 一休さんの教えなど興味がない、という方
- 自分は今の生き方で満足している、という方
- 自分の身体の持つ力などには興味がない、という方
当然といえば当然ですが、一休さんの残した言葉について著者が解説してくれる本ですので、仏教的な教えには興味がない、という方にはつまらないかもしれません。また、一休さんはとんちで有名ですが、この本ではとんちなどの要素はほとんどなく、仏教の先生のありがたい教えが大部分を占めているので、そこを期待して読むと肩透かしを食うかもしれません。
また、良く生きる方法について良いアイディアが多数あるのですが、自分は今の生き方で満足しているよ、という方には、あまり意味がないかもしれませんし、自分の身体の中にある神秘といったものについて、興味がない方は楽しめないかもしれません。
教えが難解になっている所もありますので、このような点で、読む人を選ぶ本と言えるかもしれない、と思いました。
一休「禅」の言葉: 自由に読む、自在に生きるをおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 良い生き方がしたい、という方
- 仏教的な考え方を学びたい、という方
- 一休さんがどのような教えを残していたのか興味のある方
- 自分がすでに持っている大切なものについて知りたい方
- 信仰心など、目に見えないものには興味がない、という方
まず、この本には、良く生きる上で大切な教えが多数紹介されています。禅のような考えから望ましい生き方について、など、さまざまな知識が面白く説明されていて、なかなか読みごたえがあるので、仏教などに興味のある方にはおすすめできると思います。
“橡(とち)の実の殻が、波にもまれていても、楽しそうに浮かんでいる。いつまでたっても沈まない。殻は、中の実をすっかり捨てている。だから、大水の先端で、とことん好きなように嬉しく楽しく活動しているのだ。”
このような言葉から、禅的な空の思想について考えてみても面白いですし、そこからは、良く生きる方法なども学ぶ事ができます。
また、信仰心などというものには興味がない、という方でも、祈る事の大切さ、偉大さ、そこにある精神の尊さ、といったものを知る事ができるので、この本を読めば、得る物もあるのではないか、と思いました。