文学・評論

【本要約】ペッパーズ・ゴースト(著者: 伊坂幸太郎)の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

ペッパーズ・ゴースト

ジャンル: 文学・評論

著者: 伊坂幸太郎

出版社: 朝日新聞出版

発売日: 2021/10/1

本の長さ: 400ページ

7.3

総合

7
7.3

読みやすさ

8

学び

7

実用性

この本から学べるポイント

  • 1:悪いことをしたら自分に返ってくる
  • 2:報道の仕方
  • 3:遺族の気持ち

神奈川県にお住いのペンネームみんと33さん33歳女性(職業:専業主婦(主夫)?)から2021年10月頃に読まれたペッパーズ・ゴーストを読まれたレビューになります。

ペッパーズ・ゴーストの内容

少し不思議な能力を持った学校の教師が、生徒や保護者達との交流の中で様々な事に巻き込まれていく。そしてその物語と並行して、他の事件が進んでいくのだが、読み進めていくうちに伊坂幸太の仕掛けが見えてくる。特殊能力としては、ある条件下で他人の明日が少しだけ見えるというもの。本当にそんな力がある人はいないけど(証明されていないだけで本当はいるのかもしれないが)身近な人が事故や事件に巻き込まれる明日が見えた時、先生がどう行動していくのかがとても見もの。そして今のこの世の中や動物、報道、罪などに対してのメッセージが書かれている。

ペッパーズ・ゴーストの著者について

著者:伊坂幸太郎
千葉県松戸市出身。大学卒業後、システムエンジニアとして働くかたわら文学賞に応募、2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。数年後に作家専業となった。宮城県仙台市在住。2002年の『ラッシュライフ』で評論家に注目され始め、2003年の『重力ピエロ』で一般読者に広く認知されるようになった。それに続く『アヒルと鴨のコインロッカー』が第25回吉川英治文学新人賞を受賞。

ペッパーズ・ゴースト本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:悪いことをしたら自分に返ってくる
  • 2:報道の仕方
  • 3:遺族の気持ち

特殊能力がある学校の先生が生徒と保護者との交流で、色んなことに巻き込まれていく話。その話と同時進行で進むのが、生徒の一人が先生に読んでと渡してきた小説の原稿。現実の世界と小説の世界で同時進行的に物語が進んでいく。伊坂幸太郎が仕掛けたトリックに嵌っていき、途中でこの小説の全体像が見えていく。動物に対する人間の身勝手さ、テレビのワイドショーのコメンテーターは仕事だから何を言ってもいいのか、事件によって大切な人が亡くなった被害者の気持ちはどこへ、など様々な社会の問題を詰め込んだ伊坂幸太郎らしさが出ている小説。

悪いことをしたら自分に返ってくる

自分より弱い立場の猫に対して、苛々や自分勝手なストレス発散のためや面白半分でとても残酷なことをしたことは本当に許されない行為である。人間が人間を殺したりしたら罰を受けるのは当然なのに、人間ではない動物に対しては、そんなに大きな罪にならないのが現実である。でも、この小説ではハンターが悪いことをした奴らを見つけ出し、同じことをされて、お仕置きを受けている。悪いことをしたら必ず自分に戻ってくるという証明になっているのがとても良い。

報道の仕方

この小説の中で、ある立てこもりテロ事件が起きた時、事件がテレビ中継され、司会者の発言で犯人に情報が漏れてしまった。警察の動きが分かってしまった犯人が焦って人質全員を道連れに自爆した、というもの。司会者の発言が直接の事件の原因ではないとされたけど、中にいる犯人に警察の動きをばらすなんて言語道断でありえない。そもそもこういう立てこもり事件が起きた時、テレビはこぞって報道するけど、それは果たして正しいのか。

遺族の気持ち

色んな事件が世の中ではたくさん起こるけど、加害者の支援はすごくするのに、被害者への心くばりはいつだって無いように思う。どうして復讐制度がないのか本当に疑問を感じてしまうというのが個人的感想。この小説では、被害者遺族たちがずっと我慢していたけど、ストッパー的役割の人物が別事件で呆気なく亡くなってしまい、もうどうでも良くなってしまった。いつもは我慢できても、ふとした拍子に我慢が爆発してしまうことはよくあるので気持ちが分かる。もう少し、現実世界が被害者にとって優しいものだと良いと思う。

ペッパーズ・ゴーストを読んでの感想やレビュー

この本を読んで、ますます伊坂幸太郎さんが好きになった。私は猫が大好きでねこに酷いことをする奴らはいなくなってしまえと思うし、できるなら成敗したいと思っていたので、ネコジゴハンターが私のかわりに犯人に復習してくれてすっきりした。立てこもりテロで報道したマイク育馬には本当に腹が立ったし、被害者遺族の気持ちを考えると涙が出た。ツライ気持ちはとてもよく分かるので登場人物たちに感情移入しまくった。いつも伊坂小説の中には名言が沢山あるけど、今回はこれが一番私の心に響いた。「つらい境遇の中、まっすぐに生きられる人間は素晴らしい。間違いない。が、それはその人が素晴らしいだけであって、素晴らしくなれない人間が怠けているわけでもない」

ペッパーズ・ゴーストがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 伊坂幸太郎さんの小説が嫌いな人
  • 言葉でいちいち説明がないと理解できない人
  • 人の気持ちがよく分からない人
  • ネコが嫌いな人
  • マスコミやゴシップが大好きな人

そもそも伊坂幸太郎さんの小説が好きではない人にはお薦めできない。それと彼の物語は同時進行でいくつもの物語が進むパターンが多い。読みやすいようにわざわざ章の最初に誰がメインの話なのか分かるように小さくイラストみたいなのが入っている。ころころ場面が変わっていくのでそれが理解できない人やそれが読みにくい人、苦手だと思う人はまず難しい。そして登場人物に感情移入できないと話しが入って来ないと思うので人の気持ちの変化に鈍い人、猫が嫌いな人、マスコミやゴシップが好きな人はこの小説を読んでもどこがポイントなのか永遠にわからないと思う。

ペッパーズ・ゴーストをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 伊坂幸太郎さんの小説が好きな人
  • 明日に迷っている人
  • 未來は見えないけど見えたらどう行動するか想像することができる人
  • 心配なことがあって下を向いている人
  • 今の社会の不安に押しつぶされそうな人

伊坂幸太郎さんの小説はとにかくメッセージ性が強いと思っていて、今の社会に向けての問題提起をずっと昔からしていると思っている。自分が伊坂幸太郎さんの小説を読んでいると、これを考えているのは自分だけじゃない、とすごく勇気をもらえる。現実では実際にやったら罪になるような殺人や復讐を自分の手で行えないかわりに、小説の中の登場人物がこれでもかと痛めつけてかたきを取ってくれるのもすかっとする。実際に未来は見えないけど、勇気を出していいことをしたら、誰かを救うことができるかも







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