文学・評論 文芸作品

【本要約】狐笛のかなたの書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

狐笛のかなた

ジャンル: 文学・評論, 文芸作品

著者: 上橋菜穂子

出版社: 新潮社

発売日: 2006/11/28

本の長さ: 392ページ

9.7
総合
10
読みやすさ
10
学び
9
面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:憎しみの力と許し
  • 2:命の儚さ
  • 3:思いやる気持ち

長野県にお住いのペンネームこねこねこさん26歳女性(職業:専業主婦(主夫)?)から2021年1月頃に読まれた狐笛のかなたを読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください

狐笛のかなたの内容

昔の日本(平安末期~戦国くらい?)を舞台にしたファンタジー小説です。いとこ同士が治める隣り合った2つの国の土地争いに巻き込まれ、苦しい中でも自分の意志を大切に生き抜こうとする少年少女、動物たちが物語の中心となります。登場人物一人ひとりの気持ちにフォーカスが当てられています。また、話の中の季節が分かりやすく、自然の美しい描写が多く登場します。

児童文学作品で難しい漢字にはふりがなを振ってあります。強さけれど儚い内容です。

狐笛のかなたの著者について

著者:上橋菜穂子1962年東京生まれの女性の方です。

ファンタジー、SF、児童文学作品を多く書いています。

「守り人シリーズ」では国際アンデルセン賞を受賞されています。

Youtube

【ファンタジー小説の女王】上橋菜穂子さんの人気作品ランキングTOP20 📚 | 鹿の王、守り人、獣の奏者 など人気シリーズ、狐笛のかなたなど上位ランクイン!

狐笛のかなた本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:憎しみの力と許し
  • 2:命の儚さ
  • 3:思いやる気持ち

祖母と2人で人里離れた家に暮らす少女(小夜)と人々に恐れられる大きな屋敷に孤独に暮らす少年(小春丸)が1匹の狐を追手から庇い、救う場面から物語がスタートします。

幼い頃に密かに交流した2人と1匹でしたがが、成長し、大人に(16~18歳)なると、それぞれに待ち受ける窮屈な環境と人々に翻弄されていきます。

その中で一人ひとりの気持ちを考え、悩みながらも心を強く持ち、思い描く未来へ行動を起こしていくという作品です。

憎しみの力と許し

隣国同士の土地争いが大きな筋になっており、呪術を使用し、家族を犠牲にしあい、憎しみあっています。

憎しみの感情をひとつ持てば、満たされることなく周囲の人にもネガティブな感情を植え続けるのだと改めて思いました。その気持ちの中で許すという感情を持つには因縁の過去を見続けるのではなく、未来を想像し断ち切る強さと潔さがなにより重要だと感じました。

どうしても切り離せない関係の、許せない、嫌いな人々はいますが、いつまでも言い続けるのでは無く、自分の中で見切りをつけることが大切です。

命の儚さ

タイトルにもあるように「狐笛」というものがあります。出会った子狐は、呪術の使い魔として、その笛の中に命を掌握されています。敵国へのスパイのような形で使われているのですが、裏切り行為によっては、笛を潰され命自体も失うという設定です。

平和な世の中では命の儚さを意識することすらありませんが、この本から、自分にとって大切な人でも、ひょんな事で命を失うことがあるのだと思わされます。当たり前のことでも、忘れて時間を無駄に使うことは出来ないと思います。

思いやる気持ち

主人公である小夜は、人の気持ちが聞こえる耳というものを持っています。言葉にしない気持ちの方が多い中で、聞こえる彼女はとても苦しい思いをします。

自分達は、聞こえることはないけれど、相手の立場や一人ひとりの考え方に、思いを馳せることは忘れてはいけないと学びました。言わない感情にはネガティブなものが多いかもしれないけれど、それに対して自分の行動を変える柔軟さは持ち続けていきたいと思います。

日々生活していると、気にせず主張することが多い部分を改めようと学びました。

狐笛のかなたを読んでの感想やレビュー

とても心地よい作品だったと思います。自分が生活の中で何気なく忘れてしまうような、シンプルで大切なことを思いださせてくれるという部分がこの作品の最大の魅力だと思います。五感で楽しめる文章が多いため、自分が子どもだった頃や、田舎で遊んでいた記憶が鮮明に蘇ってきて、とても懐かしい気持ちになりました。舞台は春の初めくらいなので、同じような季節になったら何度でも読み直したくなるような本です。

児童文学作品なので、文章が分かりやすくかつ、表現も美しいのでさらっと読み切れてしまいます。

狐笛のかなたがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 複雑な流れを好む読者
  • 昔の日本に馴染みがない人
  • 人の気持ちに興味ない人
  • なし
  • なし

基本的には読みやすくおすすめですが、「複雑な流れを好む読者」にはありきたりな展開に飽きてしまったり、登場人物の気持ちを隠す要素が無いため、自分で考えて予想する楽しみが無いかもしれません。「昔の日本に馴染みがない人」も、読みにくくはないとは思いますが、用語など随所随所に難しい表現が出てくるためおすすめしづらいです。「人の気持ちに興味ない方」は話の展開のみに視点がいき、話の流れがつまらないと感じるかもしれません。流れ重視よりも、過程を重視できる方の方が楽しめるかと思います。

狐笛のかなたをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 子ども(小学高学年~)
  • 昔の日本が好きな方
  • 日常に疲れた大人の読者
  • なし
  • なし

まず、児童文学作品なので言わずもがなお子さんには向いている作品だと思います。難しい漢字にはふりがなが振ってありますし、最初のページに登場人物がまとめてあります。土地の関係や位置関係も書いてあります。学べると感じたことは人として大切なことばかりだと思うので、幼少期に読むと感受性が豊かになると思います。

読みやすい作品だとは思いますが、「昔の日本が好きな方」にもおすすめ出来ます。設定はきっちりとしているので、実際昔の日本好きである私も違和感なく読み切ることができました。そして、3つ目の「日常に疲れた大人」ですが、難しく頭を使わなくていい上に、話の流れはシンプルです。季節の描写は田舎を思わせる懐かしいものが多く、本の中で現実逃避ができるような部分も魅力のひとつだと思います。おすすめです。







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