ご紹介する本
あなたを閉じ込めるずるい言葉
ジャンル: 人文・思想, 倫理学・道徳
著者: 森山至貴(もりやま のりたか)
出版社: WAVE出版
発売日: 2020/8/19
本の長さ: 208ページ
この本から学べるポイント
- 1:相手のためを思って言ったことが、実は上から目線である場合もあるということ
- 2:相手のためを思って、実は無責任な勘違いアドバイスをしてしまう危険性があるということ
- 3:自分自身が普段、よかれと思って発言していることが、具体的な場面を想定してみると非常に「ずるい」言葉であったということ
京都府にお住いのペンネームyucocoさん38歳女性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2022年10月頃に読まれたあなたを閉じ込めるずるい言葉を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
あなたを閉じ込めるずるい言葉の内容
大人など、子どもに関わる全ての子どもに向けて多くの言葉をかけると思いますが、その中には「ずるい言葉」が含まれているという内容です。
著者の意図としては子どもを読者として想定し、子どもたちが「ずるい言葉」たちにだまされたり丸め込まれたりしないよう、そのヒントを与える目的で執筆されています。
しかし、大人が読んでも今まで自分が行ってきた子どもへの声掛けを見直すきっかけとなる内容であり、今後子どもを相手にするときのみならず、大人と話をする際にも気を付けようと自分を戒めることができます。
あなたを閉じ込めるずるい言葉の著者について
著者:森山至貴(もりやま のりたか)東京大学で社会科学を学んだ方です。現在は早稲田大学で准教授をされています。
著書には社会科学系の専門書が多く、たとえば「LGBT」等の問題を研究されています。
Youtube
『10代から知っておきたい 女性を閉じ込める「ずるい言葉」』【ゲスト:森山至貴】2023年3月14日(火)大竹まこと 武田砂鉄 砂山圭大郎 森山至貴【大竹メインディッシュ】
あなたを閉じ込めるずるい言葉本の要約
この本から学べるポイント
- 1:相手のためを思って言ったことが、実は上から目線である場合もあるということ
- 2:相手のためを思って、実は無責任な勘違いアドバイスをしてしまう危険性があるということ
- 3:自分自身が普段、よかれと思って発言していることが、具体的な場面を想定してみると非常に「ずるい」言葉であったということ
10代の子どもや若者に向けた本です。子どもや若者はどうしても社会的に弱い立場になってしまうことが多く、大人と対話をした際にどうしても納得のいかないことや自力では解決できないことが出てくると思います。大人からさも正論のように思える「ずるい言葉」をかけられたら、子どもとしてはたとえもやもやが残っても相手を言い負かすことが難しくなります。そんな時に子どもはどう言い返せばいいか、自分が傷つかないためのノウハウを具体的場面を設定して解説したのがこの1冊です。大人が読んでもいろいろと学ぶことの多い内容となっています。
相手のためを思って言ったことが、実は上から目線である場合もあるということ
「あなたのためだから」という言葉があります。子どもに小言を言う場合や、子どもの要求をはねのけたい場合によく使われます。
私も、口に出すことはしないまでも、子どもが勉強をしなかったり言うことを聞かなかったりしたときについ心の中で「あなたのために言ってるのに」と思ってしまいます。
特に私は学校に勤めていた経験があり、多くの子どもを見てきた過去があるため、余計にそう思ってしまいました。
ところが、それも実は「あなたのため」というよりも私自身の都合で思ってしまっている場合もあったのかもしれないと感じました。
成績が伸びないと、教えた私の力不足を感じて自己嫌悪に陥ることもありました。だから、もっと勉強を頑張ってほしくてそう思っていた部分もあったのかもしれないと感じたのです。これからは、なぜ「あなたのため」になるのか、相手が納得のいく説明をしていきたいと思いました。
相手のためを思って、実は無責任な勘違いアドバイスをしてしまう危険性があるということ
アドバイスは普通、相手のためを思ってするものです。私自身もそう思っていろいろな人にアドバイスをしてきました。
しかしこの本を読み終えて、中にはこちらの思い込みや勘違いも多く含まれてきたのかもしれないと思うようになりました。
たとえば、「わかるよ」という言葉があります。相手の立場に立って、そのつらさや苦しさを「わかる」と同調するときに使います。
一見相手に寄り添った素晴らしい言葉に思えますが、これ自体が「勘違い」の場合があります。「わかる」というのは、実はわかった気になっているだけのこともあります。
本当は相手の立場など容易に「わかる」はずがないのに、早々に「わかった」と思ってしまうのは思考停止状態といえます。
まずは相手の話をゆっくり聞いて、簡単に「わかる」と言わない姿勢が大切だと思いました。
自分自身が普段、よかれと思って発言していることが、具体的な場面を想定してみると非常に「ずるい」言葉であったということ
この本に出てきた「ずるい言葉」の例の中に、案外自分が普段使っている言葉が出てきていることに驚きました。
たとえば「やってみれば良さがわかるよ」という押し付けや、「もっと早く言ってくれればよかったのに」という自分勝手な言葉です。
特に、困っている人に対して「もっと早くいってくれれば……」という言葉を思い浮かべることはよくありますが、この言葉は確かに具体例を見るとちょっとずるいと思いました。相手が困っているとわかったなら、その段階で言い訳せずに助ければいいわけです。自分自身が今まで助けなかったことを相手が言わなかったせいにするのは、確かにずるいと感じました。よく使ってしまう言葉だけに、今後は気を付けたいと思いました。
あなたを閉じ込めるずるい言葉を読んでの感想やレビュー
こんな言葉まで、モヤモヤする人もいるんだなあと、目からうろこでした。おそらく私自身はどちらかというと鈍感なほうなので、相手が意図的に傷つけようとして言った言葉に対しても受け流すことができます。しかし、子どもに限らず世の中には悪意ある言葉でなくても受け流すことができない人はいると思いますし、私自身自分が大丈夫だからと言って軽率な言葉を返すのはやめようと思えました。相手の話をじっくり聞き、相手を尊重していくことが大事だと思いました。何も堅苦しいことはなくて、日頃から相手との関係を大切にして、言葉には気を付けていきたいと思えた本でした。
あなたを閉じ込めるずるい言葉がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 自分は絶対に人を傷つけないし、いつも的確な助言をしていると思っている方
- 誰が何と言おうと自分の言うことは正しいから、傷つく相手が悪いと思ってしまう方
- 最近の世の中は何でもかんでも「ハラスメント」と言われて窮屈だ、発言ぐらい自由にしたい、と思っている方
- なし
- なし
自分自身い反省すべき点が特にないと思っている方にとっては、この著者の解説のほとんどが「余計なお世話」になってしまうと思います。
自分はいいことを言っているはずなのになぜ改善しなければならないのか、と思ってイライラしてしまうくらいならば読まないほうがいいのではないかと思いました。
しかし、読んでみてなお「やはり自分の発言は間違っていなかった」と思える可能性もありますので、それはそれで一見の価値があると思います。
いずれにしても、私はこの世に完璧な人間はいないと思っています。どんなに優しい心の持ち主であっても、他者を傷つけてしまうことはあるでしょう。
「こんな発言が引っかかる人もいるんだな」ということを学ぶことがよい人間関係の構築につながるので、どんな人でもまずは一読してみてはどうかと思っています。
あなたを閉じ込めるずるい言葉をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 普段から自分は他者に対して思いやりを持って接している、と思っている方
- 相手のためを思ってアドバイスしたのに、なぜかその後の人間関係がうまくいかない方
- 日頃子どもと言い合いになり、反感を持たれることが多い方
- 相談した時に相手から言われた言葉に対して、いつもモヤモヤを抱いている方
- なし
「ずるい言葉」を言ってしまっている可能性のある方に、ぜひとも読んでいただきたいと思います。自分がよかれと思って相手に言ってきたことで、逆に相手を傷つけたり相手との仲がうまくいかなくなったりするのは非常に悲しいことだと思います。
もちろん、一概に自分が言った言葉ばかりが悪いとも言えませんが、もしかしたら原因は自分の言葉にある可能性があります。よくない状況を打開したい場合、人間関係が絡んでくるとやはり他者を変えようとすることは難しいと思います。それならば、自分の言動を振り返って、自分自身が他者との接し方を変えていくしかありません。
とはいえ、何もヒントがないところで自分を変えるのは大変ですので、この本からヒントを得て良い人間関係を築けるようにしていけばいいと思いました。
もちろん、誰かに言われた「ずるい言葉」に傷ついている人も、どうしてその言葉に傷ついたりモヤモヤしたりするのか突き止めていくと状況が違ってくると思います。
自分の感情を言葉で説明できると、なぜモヤモヤするのかがわからない状態でいるよりも、ずっとすっきりすると思います。