文学・評論

【本要約】麦本三歩の好きなもの 第一集の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

麦本三歩の好きなもの 第一集

ジャンル: 文学・評論

著者: 住野よる

出版社: 幻冬舎

発売日: 2021/1/14

本の長さ: 296ページ

8

総合

9

読みやすさ

7

学び

8

実用性

この本から学べるポイント

  • 1:自分の感情に素直に従っても良いのだということ
  • 2:有意義な1日を過ごそうと力まなくても良いということ
  • 3:日常の中に好きなものは意外とたくさんあること

富山県にお住いのペンネームごまふさん20歳女性(職業:学生?)から2021年3月頃に読まれた麦本三歩の好きなもの 第一集を読まれたレビューになります。

麦本三歩の好きなもの 第一集の内容

大学図書館に勤務するヒロイン麦本三歩の日常を描いた連作短篇集です。食べること、歩くこと、本を読むこと、たくさん寝ること、他にもたくさん、彼女の毎日は好きなもので溢れています。周囲から見るとおっちょこちょいでぼうっとしているだけに見える彼女だって、仕事先で先輩に怒られたら落ち込むし、頭を悩ませることもある。だけど美味しいものを食べれば、好きな音楽を聴けば、また明日を楽しみにすることができる。そんな、何でもないような日常を目いっぱいに楽しむ三歩の幸せを覗き込むことができるような作品です。

麦本三歩の好きなもの 第一集の著者について

著者:住野よる
高校時代から執筆活動を始めており、デビュー作である『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなっています。

麦本三歩の好きなもの 第一集本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:自分の感情に素直に従っても良いのだということ
  • 2:有意義な1日を過ごそうと力まなくても良いということ
  • 3:日常の中に好きなものは意外とたくさんあること

特に強いメッセージ性があるという訳では無く、読んだあとに心がほっこりするような日常ものです。何の変哲もない無意味な1日も気楽に楽しんでしまえばいい、1日の中に好きなものがあればきっと楽しいし、そんな毎日を繰り返すことが大切なのだと、力を抜いて教えてくれるような物語の数々があります。ヒロインの三歩はただおっちょこちょいで何も考えていない女の子という訳では無く、物事を自分の感情や気持ちから捉える素直な子なのだというところもポイントです。

自分の感情に素直に従っても良いのだということ

休日に美味しいラーメン屋さんをたまたま見つけて喜ぶ。布団から出ると寒くて仕方がなくて憂鬱だけれど、朝ごはんに大好きなチーズ蒸しパンを食べたら幸せいっぱいになる。仕事先の先輩から嫌味を言われるのが悔しくて、本人の目の前で「なんだこの人!」といって泣きながらナポリタンをほおばる。そんな、出来事に対して感じたままに動いて思ったように表現する三歩を見ていると、自分ももっと自分の感情に素直になったら、三歩のように毎日を少しでも楽しめるだろうかと思いました。ダイエットのためとお腹が空くのを我慢したり、人の顔色を窺って感情を押し殺したり、そうすることで結局ストレスをためる自分の生き方を、変えてみてもいいんじゃないかと思えるきっかけになりました。

有意義な1日を過ごそうと力まなくても良いということ

ベッドで何時間も寝たり、スマホをだらだら眺めたり、惰性でYouTubeを見て過ごしたりして、1日何にもせずに過ごしていると「あぁまた意味のない1日を過ごしてしまったな…」と思う人が多いと思います。もっと実用的な本を読んだり、資格の勉強をしたり、家の掃除をしたり、何か有意義なことをしなければその日は「良い日」じゃないと私も考えてしまいがちです。しかしこの本では、そんな無意味な1日は悪くないのだと教えてくれます。1日に価値の違いなんか無くて、無意味な日も意味のある日も同じように大切だと思えることが、日々を楽しく生きるコツだと三歩は伝えてくれるのです。

日常の中に好きなものは意外とたくさんあること

「好きなものは?」と聞かれると、趣味や特技やものすごくのめりこんでいるものを答えなくちゃいけない気がして、でもそんなものは無いから「特にない」と言ってしまうという経験がある人は少なくないと思います。私もその一人でした。でも作中で取り上げられる三歩の好きなものは、ジャンルも規模もばらばら。歩くこと、図書館、ブルボン、蟹、女の子、魔女宅、ファンサービス、生クリーム…読んでいて「いや、そんなしょうもないものまで好きなの?」と思わず突っ込んでしまいますが、基準など考えず好きだと素直に思うものが好きなもので良いのだと思いました。

麦本三歩の好きなもの 第一集を読んでの感想やレビュー

何か事件が起こったり、奇怪な設定があったりする訳ではなく、ただ女の子が毎日を過ごす様子を読んでいるだけなのに、読むとなぜが元気が出てきて「面白かった」と思える不思議な作品でした。三歩の夢が「麦本三歩に生まれてきてよかったと、できる限り多く思えること」だという描写にとても共感するものがありました。自己肯定感を高めるという言葉がありますが、それは三歩のように、自分の感情を素直に出力してみたり、好きなものを少しでも多く作って毎日を楽しんでみようとしたりすることと等しいのではないかと、読み終わった後に考えました。

麦本三歩の好きなもの 第一集がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • サスペンスやミステリーが好きな人
  • 泣ける話が読みたい人
  • クセのある地の文が苦手な人
  • 働く女性のお仕事ものを期待している人
  • 展開の早い本が好きな人

"住野よるさんの作品と聞いて『君の膵臓をたべたい』のような感動的なストーリーを連想し手に取った人は、作品ののんびりとした雰囲気に拍子抜けします。何でもない日常をのんびりと綴るような話が連なる作品ですので、サスペンスやミステリーといった鮮やかな伏線回収や目まぐるしい展開を好む人にはつまらなく感じてしまうと思います。また「図書館勤務の女の子」「前向きに楽しんで」というキーワードから、ドラマなどによくある”仕事に熱心なヒロインが社会の波に揉まれながら奮闘する物語”をイメージした人も、1ページ目から「なんか違うぞ?」となってしまうでしょう。
地の文は三歩の視点で描かれており、口調や独特の言い回しが多いため、慣れるまで少し時間が掛かるかもしれません。"

麦本三歩の好きなもの 第一集をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • 「住野よるが好き」という人
  • 日常ものが好きな人
  • リラックスできるような本を読みたい人
  • スキマ時間に小説を読みたい人
  • 読書に堅いイメージがある人

住野よるさんはおちゃめな女の子やポップで軽いイメージの描写が得意で、今作はその要素が惜しみなく使われています。住野よるさんが描く女の子が好き、という人は読む手が止まらないこと間違いなしですので、ぜひ読んで頂きたいなと思います。また「人生観を問いただす」とか「命について考える」みたいな重々しいテーマは一切無く、価値観が変わるような強いインパクトがあるストーリーでもありませんので、力を抜いて本を読みたい人におすすめしたいです。1話完結の短篇集ですので、小説を読むためのまとまった時間が取れないという人や本を読むのが苦手という人でも手軽に読むことができる作品となっています。







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