文学・評論

【本要約】獣の奏者1闘蛇編(著者: 上橋菜穂子)の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

獣の奏者1闘蛇編

ジャンル: 文学・評論

著者: 上橋菜穂子

出版社: 講談社

発売日: 2009/8/12

本の長さ: 360ページ

6.6

総合

7

読みやすさ

6

学び

6

実用性

この本から学べるポイント

  • 1:信頼
  • 2:成長
  • 3:信念

東京都にお住いのペンネームこのはさん20歳女性(職業:学生)から2021年8月頃に読まれた獣の奏者1闘蛇編を読まれたレビューになります。

獣の奏者1闘蛇編の内容

この作品は、「猛獣と心を通わせる」ことから「相手に寄り添う」「相手を信頼する」ことの大切さを教えてくれる本です。
世間から恐れられるものと心を通わせ、信頼しあうことは難しいことです。しかし主人公はその猛獣たちと心を通わせていく中で、猛獣たちを思うままに操れる技を見つけてしまったり、そのせいで社会の波に飲み込まれてしまいます。そんな中でも、自分の信念をもって、社会の波に飲み込まれながらも精一杯生きていく姿を、私たちは一番の特等席で感じることができます。

獣の奏者1闘蛇編の著者について

著者:上橋菜穂子さん
文化人類学者で、アボリジニの研究を行われています。児童文学作家で、他にも『精霊の守り人』や『鹿の王』なども執筆されています。
児童文学でありながら、大人でも楽しめる、大人になればなるほど考えるものが多く、深まっていく作品を書かれるのが特徴で、子供のころと大人になってからで読み返すと感じるものが違ってきたり、新たな発見が生まれる、そんな作品を書かれています。

獣の奏者1闘蛇編本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:信頼
  • 2:成長
  • 3:信念

獣の奏者は、文庫版では1~4に分かれています。主人公エリンの歳によって変わっていきますが、今回ご紹介させていただくのはその一番最初、1、闘蛇編です。
主人公エリンは、闘蛇と呼ばれる戦争に使用される蛇を飼育する村に住んでいました。しかしある日、その村で起きた事件、そして事件によってその村から逃げなくてはならないところから物語が始まっていきます。
この始まりをきっかけに、主人公エリンがいろいろな人と出会い、獣と出会い、自分も母と同じ「獣ノ医術師」という、現代でいう獣医を目指すようになる、そんな物語です。

信頼

相手を信頼すること、それはとても難しいことだと私は思っています。相手を信頼しなければ何も始まらないけれど、でも相手を信頼するということは相手に寄り添う、ということでも、自分の弱いところを見せるということでもあるからです。
しかし、この作品はその「信頼する」というところに関して、心情の機微を描いています。最初は心を開かなかったエリンが心を開いていくまで。王獣と呼ばれる存在に魅了され、猛獣に惹かれて母と同じ道を目指すようになるまで。なにかに信頼をして、その先を見つめる。そんな姿が特徴的です。

成長

成長は誰しもがすることだと思います。しかし、自身の成長というものはとても気づきにくいところではないでしょうか。このエリンの成長を見ることで、私は自身の成長について見直すことが多々ありました。エリンが母と同じ道を目指すことを決意した瞬間、「私はこの年の時、何を見て今の自分に進んだのだろう」と突然自分を省みてしまいました。きっと今の自分がいることは、その昔自分がなにかきっかけがあってこの道に進んだのだろうと思います。しかし成長をしたら、そのきっかけは薄れてしまいます。
このきっかけと始めた当初を思い出し、そして今の自分を見て、その成長をみるきっかけとなる作品です。
また、この「獣の奏者」事態が、エリンの人生をおってその成長や心情の変化を見る作品となっています。この作品だけからも成長を見ることができます。

信念

自分たちが生きていく中で、信念というものをどこかで持っていないと、ただ流されるだけの人になってしまいます。その信念をはぐくんでいくためには、様々な出来事やきっかけがあるかと思います。
この作品は、信念を持つことの大切さを説いてくれるように私は考えています。どうして私はこのように生きるのか、大切なようで忘れがちなこの信念を思い出させてくれたり、改めて考えなおしたりできる、そんな要素がこの獣の奏者には詰まっています。

獣の奏者1闘蛇編を読んでの感想やレビュー

本当に大好きな作家様の作品となりました。精霊の守り人とはまた違う、人の強さや弱さを描写している、感動できる作品になっています。
児童文学作家様でもありますが、本当に大人でも楽しめる、なんなら音何位なってからが本番のような、そんなところがあります。子供向けなんでしょ?なんて思わず、ぜひ一度読んでいただけたらと思います。きっとこの世界にのめりこんで、主人公に感情が入り込んで、まるで映画を見て追憶しているかのように読むことができるかと思います。

獣の奏者1闘蛇編がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • ファンタジーが苦手な方
  • 楽しい、笑える作品が読みたい方
  • 長編が苦手な方
  • 想像しながら読むのが苦手な方
  • 痛々しい表現が苦手な方

たまに人が食いちぎられる、などといった痛々しい表現が入っているため、痛々しい表現が苦手な方は注意が必要です。また、ファンタジー長編のため、短編が好きな方やファンタジーが苦手な方は少し辛いかもしれないです。
この作品はいろいろなことを考えさせてくれる作品のため、思いっきり笑いたいときであったり、楽しみたいときにはお勧めできません。できる限り静かで一人の時に、物語に飲み込めるとき、のめりこみたいときに読むことをお勧めします。

獣の奏者1闘蛇編をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • ファンタジーが好きな方
  • その人の一生を物語で感じたい方
  • 物語にのめりこめる人
  • 強い信念を持った女性が主人公の作品が好きな方
  • 泣きたい、感動したい方

まず、王獣や闘蛇といったところからわかるように、上橋菜穂子さんの作品は総じてファンタジーの世界です。そのため、ファンタジー好きの方は絶対に読んでほしいと思います。
また、獣の奏者は、楽しいというところよりも、感動する、心に響くといったシーンや描写が多いです。そのため、心に響く作品が読みたい方や、感情移入しやすい方などは特に主人公の気持ちや世界観が広がりやすく、また主人公の人生を追った作品となっているため、主人公の成長なども見えるのではないかと思います。







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