ラノベ

【本要約】二百十番館にようこそ(著者: 加納朋子)の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

二百十番館にようこそ

ジャンル: ラノベ

著者: 加納朋子

出版社: 文藝春秋

発売日: 2020/8/5

本の長さ: ‎303ページ

8

総合

8

読みやすさ

8

学び

8

面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:オンラインゲームの奥深さ
  • 2:ニートに困っている親心
  • 3:限界集落での生活の難しさ、問題点

茨城県にお住いのペンネームrokoさん48歳女性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2021年11月頃に読まれた二百十番館にようこそを読まれたレビューになります。

二百十番館にようこその内容

共働き高収入の両親のもとでゲーム三昧のニート生活を送る、28歳の男性が主人公です。親に勧められて会ったこともなかった伯父の遺産である、小島の館を譲り受けることになりました。別荘がわりに遊びに行くつもりで、なぜか弁護士と一緒に海を渡ります。行った先で親に電話するも通じません。弁護士からの託された手紙を読み、両親がいかに自分に失望し、この島に「捨てて」いったかを理解します。しかし、生きていかねばならず大好きなゲーム生活をしながらも、仲間を募り島の人と溶け込んでいきます。

二百十番館にようこその著者について

著者:加納朋子
「ななつのこ」でデビュー後、「ささらさや」「ガラスの麒麟」などミステリだけれど、血なまぐさくなく、どこかほのぼのした繊細な文章の書き手です。白血病をわずらい、闘病したノンフィクションエッセイもあります。

二百十番館にようこそ本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:オンラインゲームの奥深さ
  • 2:ニートに困っている親心
  • 3:限界集落での生活の難しさ、問題点

"アラサーになっても親に生意気なことばかり言ってゲーム三昧のニート生活を送る、どうしようもない男。
ゲームの魅力やつながり、テクニックや学べることについて小説として魅力的に書いている点。
離れ小島という限界集落の弱点と、その克服へのアイディア。
ニートを持つ子どもに困っている親心。
医師が出てきますが、仕事を全うしているにもかかわらずクレームをつけ他人をトラウマに追い込む人々。
最後には、荒療治をしてまで子どもに自立させ立ち直ってほしいと願う親の包容力が魅力です。"

オンラインゲームの奥深さ

自分はオンラインゲームは全くしないので、小説から読んで理解したことだけですが、ゲームの中だからこそ見える人の本質などがあるのだなあと思いました。ネタばれですが、最後ゲーム内で信頼していた友人の1人が実は両親であるというオチがあります。両親はどうしようもないと思っていた息子の、ゲーム内でのあり方を見て息子の長所を知り、立ち直るきっかけを考えていきます。ネットの向こうには生身の人間がいること、これからのオンライン社会へのメッセージにも思えます。

ニートに困っている親心

ニートに困っている親御さんは多いと思います。両親に経済力があればまだしも、そうでない場合は共倒れです。この作品では、経済力のある両親と不動産を遺した伯父の存在があるからこそ、主人公もくいっぱぐれることなく、立ち直って自立していくわけです。実際にはこんなにご都合主義のような展開にはならないでしょうけれど、自分の置かれている状況、持っているもので何ができるかを考え、ひも解くように少しずつ積み重ねるのはニートじゃなくても大事だなと思います。

限界集落での生活の難しさ、問題点

離れ小島という限界集落での生活の難しさもあります。島で一番若い人が59歳です。物資を運ぶのも相当割高になります。医療もありません。日本にもまだこういうところが諸所あるのだろうと思います。私は都会に集約すればよいのにと思いますが、人がいないと外から侵略されるおそれもあるし、国土の保全という意味でもど田舎守っていく必要があると思います。物資の移送など、作品にはいくつかヒントもありました。簡単にはいかなくても、考えのひとつとして有効ではと思います。

二百十番館にようこそを読んでの感想やレビュー

とにかく、爽快でどのように話が展開されていくのか、小説中に出てくる「ラーメン伝送システム」のようなアイディアも面白く、この伏線がどこへ行くのかを考えても楽しく一気に読みました。オンラインゲームを少しでも経験していれば、さらに面白く読めたなあとも思いますが、未経験でもゲームの魅力が伝わるところが、作者の腕なのだろうと思いいます。実際、主役は経済力等に恵まれているのでラッキーなタイプでしょうけれど、世の中が少しでも生きやすくなるといいなと思いました。

二百十番館にようこそがおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • ニート本人など。
  • オンラインゲームを忌み嫌う人
  • 子育てに全く苦労したことない人
  • 老人を大嫌いな人
  • 共感性のすくない人

基本的に、ニートの主人公は「立ち直り自立したい」と思っているし、両親の愛情がわからないほど、気持ちに寄り添えないほど曲がった根性ではありません。登場人物もほとんどが善人ばかりです。自分自身がニートだったり、他人の温かい気持ちを理解できないような人だと、作品を読んでもよさに全く気付けずご都合主義的な面だけ見てつまらなく思うかもしれません。あと、ゲームの良さを全然想像もできない人には、難しいというか、かなりゲームが肝となっているので、面白さが伝わりにくいと思います。

二百十番館にようこそをおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • オンラインゲーム好きな人
  • ニートが身近にいる人
  • 実家が相当過疎化している人
  • 医療のないところで大けがをしたことのある人
  • ゲーム上で知り合った人を好きなったことのある人

作品中には、ニートに困っている人、過疎化の地域に住んでいて問題を抱えている人、医療がなく困った話、オンラインゲームで心を通わせたり努力するすべを学ぶことなどが面白く書かれています。オンラインゲーム初心者の登場人物が一緒にゲームする人に恋をしてしまう話題もあります。仕事を一緒にしてプライベートは知らなくてもその情熱や仕事ぶりに感動するように、顔が見えなくても、ゲームへの情熱や手段の在り方に心をつかまれることはあるのだろうなと思います。







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