文学・評論 文芸作品

【本要約】理由の書評とポイント解説を総まとめ!

ご紹介する本

理由

ジャンル: 文学・評論, 文芸作品

著者: 宮部みゆき

出版社: 朝日新聞出版

発売日: 2002/8/1

本の長さ: 630ページ

8.3
総合
6
読みやすさ
10
学び
9
面白さ

この本から学べるポイント

  • 1:タワーマンションの住宅構造
  • 2:競売物件制度
  • 3:競売物件にかけられた人たちの為の違法な不動産屋の存在

神奈川県にお住いのペンネームおら山さん29歳女性(職業:経営者・個人事業主(自営業))から2022年8月頃に読まれた理由を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください

理由の内容

タワーマンションを買う人、買いたい人、住む人、手放す人、色んな人間の欲望が交差して起こる一家惨殺事件。タワーマンションの中で一家の惨殺事件が起きる。だが、殺されたのはマンションを所有している家族ではない身元不明の別の4人だった。マンションで亡くなっていたのは誰なのか、またマンションの所有者はどこに居るのか。そして犯人は誰なのか。一件の殺人事件をきっかけにタワーマンションを背景とした社会現象と、競売物件を題材にした宮部みゆきの大人気社会派長編サスペンス。

理由の著者について

著者:宮部みゆき日本を代表する女流作家。社会派のサスペンスを多く扱う。読者に動機に紐ずく社会問題を投げかける作品が多い印象だが「ブレイブストーリー」のようなSFものも得意としている。

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理由本の要約

この本から学べるポイント

  • 1:タワーマンションの住宅構造
  • 2:競売物件制度
  • 3:競売物件にかけられた人たちの為の違法な不動産屋の存在

タワーマンションという、成功者の象徴のような住宅に居住することが、そのブランド思想のイメージに縛られた人たちの人生を壊していくということを描いている本です。身の丈にあった幸せの度を超えてしまうと綻びが生じるという教訓が詰まった物語です。雪だるま式に不幸の連鎖が起きてしまい、また色んな人の運命がそれによって翻弄されてしまいます。また、住宅ローンを支払えない人が裁判所に物件を差し押さえられ、それを裁判所が割安で販売する「競売物件制度」についても詳しく描写されています。

タワーマンションの住宅構造

タワーマンションには常に管理人が居て、管理人は所帯持ちが多いということ。24時間、ホテルのフロントのようにいつでも電話をすれば対応してくれると言うこと。タワーマンションを建てる際には元からあった土地との兼ね合いで地域の人からの賛同を得られないと建設が進まないということ。また、タワーマンション内は住宅街と違って住民同士のコミュニケーションは希薄な為、芸能人や社会的ステータスの高い人が好んで住むということ。

競売物件制度

タワーマンションは1億円近くする為、社会的ステータスが高い。その分マンションに住むだけではなく、他の住民と足並みを揃えて子供を私立中学に入れたり、その為に習い事をさせたりと生活の質を上げる為の費用もかかる。そうした事から貯蓄に自信がない人が住んでしまうと支払いが足りなくなり、ローンを支払えなくなり、住宅ローンを払えない事でマンションが抵当に入れられてしまう。こうして、裁判所から競売にかけられてしまう。

競売物件にかけられた人たちの為の違法な不動産屋の存在

住宅を競売にかけられた人たちを対象にした不動産屋の存在を知った。競売でマンションが売却されたにもかかわらず、せっかく手に入れたタワーマンションを手放したくないオーナーの為に、悪知恵を吹き込んで新しいオーナーを困らせる為のノウハウを教えるといった事を生業にしているらしい。

具体的には第三者をそのマンションに金を払って住まわし、居座ってもらうというやり方だそうで、第三者が出ていかないというのは裁判所も介入できらいとか。

理由を読んでの感想やレビュー

宮部みゆきの代表作のひとつです。最初から謎が多い展開から始まる物語なのですが、どんどん物語が壮大になっていき、登場人物もどんどん増えていきます。この登場人物がどう事件と絡んでいくのか、長編なので結構な大風呂敷になるのですが、それが見事に交差し合い、伏線を回収していく展開は流石、ミステリーの女王だなと思いました。タワーマンションの構造や住民の層、競売物件、競売物件を対象にした不動産屋など知らなかった教養も自然と身につき、満足度が高い作品でした。

理由がおすすめでない人

こんな人はおすすめしない

  • 難しい話が苦手な人
  • 登場人物が多い話が苦手な人
  • 暗い話が嫌いな人
  • 長い話だと読めない人
  • なし

とにかく長い作品なので、普段長い小説はあんまり読まないという方にはおすすめできません。

また、作者の特徴で一瞬しか出てこないような登場人物でもその人の背景を遡り、祖父母の代からどういう家系で?といった長い説明が登場人物の数だけあるので、情報量が多過ぎて読んでいるうちに誰が誰だか分からなくなりそうになります。また、殺人事件をテーマにしている上に題材が借金なので救いようがない展開が多いです。なので、明るい話を求めている方にはおすすめ出来ません…

理由をおすすめしたい人

こんな人におすすめ

  • マンション購入を考えている人
  • 競売物件に興味を持っている人
  • イヤミス(嫌なミステリー)が好きな人
  • 社会派のサスペンスが好きな人
  • 群像劇のようなミステリーが好きな人

筆者の下調べがとても具体的な為、読んでいてタワーマンションの購入についてや、ローンの支払いについて、また支払えなかった場合にどういう業者とかかわることになるかということが事細かに書いている。その後、競売にかけられた場合の裁判所とのやり取りや、競売物件の落とし穴。競売物件を対象にした不動産屋のテクニックなども紹介している。ミステリー作品は、読み物の中でも「犯人を知りたい」という心理でサクッと読めてしまうものが多いが、読んでるうちに教養が身につくのもおすすめなポイントである。読後、住宅ローンについて考えさせられるので社会問題を取り扱ったミステリーが好きな人にもおすすめ。







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