ご紹介する本
ドレス
ジャンル: Kindle本, 文学・評論
著者: 藤野可織
出版社: 河出書房新社
発売日: 2020/5/7
本の長さ: 193ページ
この本から学べるポイント
- 1:各々の価値観について
- 2:固定観念の恐ろしさ
- 3:人を大切にすることについて
神奈川県にお住いのペンネーム西野 生紗さん22歳女性(職業:会社員・職員(非正規雇用)?)から2022年12月頃に読まれたドレスを読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
ドレスの内容
小説家さんによる短編集です。
純文学でありつつ、本作では見事な短編として短い世界にことばの魅力と不気味な世界観をぐっと詰め込んであります。「ドレス」というタイトルの短編集も収録されていますが、それはパーティーなどで着るきらきらしたお洋服のドレスのことではありません。
その他の作品もどれも、固定観念に気が付かされ、それぞれの人による価値観の振れ幅を思い知ることになる、読めば世界の見方がつい変化してしまうようなものばかりです。
ドレスの著者について
著者:藤野可織日本の小説家、純文学作家さんです。芥川賞を受賞しています。
現在、刊行書籍多数であり、5大文芸誌を共に作品の掲載をされている。
Youtube
MOC(モック)「トヨザキ社長のコレ読め!」藤野可織 著「ドレス」 moc.style
ドレス本の要約
この本から学べるポイント
- 1:各々の価値観について
- 2:固定観念の恐ろしさ
- 3:人を大切にすることについて
名詞とイメージがいかにこびりついているのかを気が付かせてくれるようなものがたりばかりの短編集です。
小説の中では主に、ある対象について素晴らしい素敵だと信じている人と、そこについていくことが出来ずに戸惑っている人の構図の上になっています。自分の大切な人が自分の理解できないものを愛でていたら、あなたはどうしますか。
信じていたものがまるで事実でなかったとわかったときに、あなたはきっとどう思うと思いますが。
各々の価値観について
当たり前なのですが、ひとつの物事に対し良し悪し、賛成や反対をどちらだと思うかは人それぞれでありとても自由なことです。
それを上手く捉えられずに、時にわたしたち現代人は分断してしまいます。喧嘩をしたり、武器を持った争いになってしまうこともあります。
みんな違ってみんな良いのだと、違うことこそが平和なのだと大きなこころで全ての人が理解できる日が果たしてくるのかなとつい、考えてしまいました。
仲良くする方法を模索したいです。
固定観念の恐ろしさ
固定観念に左右されてしまうのはとても恐ろしいことだなと思いました。
これはこうだと知っているつもりになると、他のものが見えなくなってしまうのだと思います。どうしても賢くなにかを知った気になってしまいたい気持ちがわたしの中にはあるのだと思います。
それについて真正面から向かい合うことができた時に、より世界はみずみずしく見えるのかもしれません。
そして周りの人たちとなかよく地球を囲むことの第一歩になるような気がします。
人を大切にすることについて
家族、友人、恋人など、誰にでも特別に大切な人はいることと思います。
その人たちと一生すばらしいお付き合いができるとは限らないもので、すれ違ってしまったり後に引けないことを言ってしまうこともあるかもしれません。
また、大切な人ひとりとその他大勢の人とをはかりにかけるようなシチュエーションがないとも限りません。
自分の信じるものが見えなくなってしまわないように、大切な人を守ること。それはとても難しいのですが、できるときっと自身を幸せにしてくれると思いました。
ドレスを読んでの感想やレビュー
藤野可織さんの小説は女性観を浮き彫りにし、かつすこし不気味な空気を伴うものだという印象です。
本作の短編集では、女性優位に傾きすぎず、性的グロテスクにも偏りすぎずに、作家さんの雰囲気の良いところは存分に生かされているように思いました。
特別表題作と、最後の短編は印象強いです。
ドレスというアクセサリーショップにておしゃれの独自性を貫くルッキズムに解放された女性こその美しさ。
知らないでいた方が安心して過ごせたかもしれないことをはっと気がつかされた時の自分だったらという想像。
わたしは生涯忘れることができないと思います。
ドレスがおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 著者の批判のために本を手に取る人
- 酷評目的で本を読む人
- 難しいことを考えるのはだるいと思ってしまう人
- なし
- なし
基本的にはぜひ、多くの人に読んでみてもらいたいと思います。気になった時がおおきなきっかけだと思います。
ただし、これだけ多くの主題を込めて短編集として多角的に盛り込み1つの本にされた著者さんの思いへ初めから批判的に近づこうとする場合にはおすすめができません。
あたたかい気持ちで読んでみてもらいたいと思います。
それは著者さんに対しても、あなたの周りの人に対しても適応されるあたたかさになるときっと思います。
ドレスをおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 人付き合いについて考えるのが好きな人
- 平和について考えるのが好きな人
- 小説を通して世界を見るのが好きな人
- 文芸誌が好きな人
- 芥川賞に興味がある人
この小説を通して見えてくるものはきっと人それぞれだと思います。
夢の中の世界のように不思議で、曖昧であり、ぼやっとした世界間の境目をなぞるように読むことも可能です。けれど、この話はすなわちどのような意味なのかなと考えてみるとこの本の深みはぐっとますと思います。
その点が芥川賞系の純文学である証とも言えるでしょう。
人の本や言葉、またたくさんの種類のアートから世の中のことを見つめてみるのが好きな人にはぜひ、一度読んでみていただきたいと思います。
自分の世界と分断されているわけではないと思いながら読むことができるとなお良いと思います。