ご紹介する本
とわの庭
ジャンル: 暮らし・健康・子育て, 恋愛・結婚・離婚
著者: 小川糸
出版社: 青春出版社
発売日: 2022/5/14
本の長さ: 224ページ
この本から学べるポイント
- 1:「小川糸」さんの新境地が開かれたような作品。
- 2:「残酷さ」を細かく描写することによって「幸せ」や「愛情」を際立たせることができる。
- 3:主人公の幸せを心から願うほど、感情移入させられた見事な構成。
香川県にお住いのペンネームひまわりさん56歳女性(職業:その他)から2021年9月頃に読まれたとわの庭を読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
とわの庭の内容
目の見えない少女「とわ」は、母親と二人きりで生活していました。外界との接触はほとんどない生活でしたが、とわはさまざまなことを敏感に感じ取り、母親に愛されていると信じ、幸せだと思える日々を送っていたのです。ところが、ある日、彼女の生活全般を支えてくれていた「母親」が突然帰ってこなくなりました。とまどい、おののき、不安にかられる「とわ」でしたが、そんな過酷な状況にも関わらず、彼女は前を向いて歩きだそうと決意します。
とわの庭の著者について
著者:小川糸山形県出身の小説家であり、作詞家としても活動しています。「食堂かたつむり」「つるかめ助産院」「ツバキ文具店」などの代表作があり、2020年には「ライオンのおやつ」が本屋大賞第2位を獲得しました。
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とわの庭本の要約
この本から学べるポイント
- 1:「小川糸」さんの新境地が開かれたような作品。
- 2:「残酷さ」を細かく描写することによって「幸せ」や「愛情」を際立たせることができる。
- 3:主人公の幸せを心から願うほど、感情移入させられた見事な構成。
目の見えない少女が、懸命に過酷な運命と戦いながら、人々の優しさにふれ、力強く立ち上がっていく物語です。物語の前半部分と後半部分は、いかにも小川糸さんらしい、ほのぼのとした雰囲気にあふれていますが、中盤で残酷な事実が明らかになる過程は、読んでいて気がめいってしまうような悲惨な内容が列記されています。しかし、この中盤の残酷な内容がある分、後半の幸せがしみじみと感じられ、読者の心をわしづかみにするような深い感銘を与えてくれます。
「小川糸」さんの新境地が開かれたような作品。
これまで「ライオンのおやつ」に代表されるような、どこかほんわかとしたメルヘンチックな作風が特徴的だった「小川糸」さんですが、今回の作品を同じような心構えで読んでしまうと、あまりの悲惨さに思わず本を閉じてしまいたくなります。そういった意味で、よくぞ、この分野にチャレンジしたなあと感銘を受けたのは、私だけではないでしょう。まさに新境地を開いた作品でありますが、同時に彼女らしさも失ってはいない、貴重な作品となっています。
「残酷さ」を細かく描写することによって「幸せ」や「愛情」を際立たせることができる。
例えば残酷なシーンを細かく描写せずに、こんな出来事が過去にあったと、ほんの数行で紹介することも出来たと思います。しかし、そうせずに残酷で悲惨な「とわ」の体験をことこまかく、しかも目の見えない彼女の視点から描写することで、読者は後半に与えられる「幸せ」や「愛情」を待ち望んでいた自分に気づかされ、その温かいものたちに心から安心し、思わず涙ぐみそうになるのだと思います。「残酷さ」をあえて強く押し出すことで、「幸せ」や「愛情」などというポジティブな感情がより際立っている作品です。
主人公の幸せを心から願うほど、感情移入させられた見事な構成。
先に記したような構成のおかげで、私自身、すっかりこの物語に感情移入してしまい、途中からは「怒り」「悲しみ」「やるせなさ」といった思いが爆発しそうになりました。しかし、徐々に「とわ」が幸せになっていく過程をみて、心の底から、もっと幸せになって欲しいと願う自分に気づかされました。本を読んで、泣いてしまうことは久しぶりでしたし、ここまで感情移入したのははじめてでした。心の奥底まで揺さぶられたようで、しばらく、この本のことが頭から離れなかったほどです。
とわの庭を読んでの感想やレビュー
本を読んでいて「心が痛い」と感じたのははじめてでした。自分の好みによって、あえて悲惨な内容の本を避けてきたのも、その理由の一つですが、想像もしなかった内容だったので、突然、先制パンチをくらったような気分になったからかもしれません。でも、痛みを感じた分、それを癒してくれる力も絶大で、知らぬ間にぽろぽろと涙を流しながら本を読んでいたという貴重な体験をさせてもらいました。この本を手に取らせてくれた小川糸さんに、改めて感謝したいと思います。
とわの庭がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 児童虐待をとりあつかった作品が苦手な人
- 残酷で悲惨な描写のある作品を読みたくない人
- ほのぼのとした「ライオンのおやつ」に代表されるような小川糸の作品が読みたい人
- なし
- なし
基本的にすべての方々におすすめしたい作品ではあるのですが、児童虐待や残酷なもの、悲惨なものをあえて見たくないと思っている方には、少々、ハードな内容となっているかもしれません。また「ライオンのおやつ」を読んで同じ世界を味わいたいという先入観をお持ちの方も、あまりのギャップに言葉を失ってしまう可能性があります。ただし、悲惨で残酷な描写がある分、小川糸ワールドがキラキラと輝いて見える作品でもあるので、読んでみれば「良かった」と思える可能性はあります。
とわの庭をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 心から感動できる本を読みたい方
- 温かい幸せな物語が好きだけれどもそれだけでは、物足りないかもと思う方
- 本を読んで涙活したいと思っている方
- なし
- なし
基本的には前向きになれる内容なのですが、途中、悲惨な内容が多く記されており、温かい幸せな物語が好きだけれどもそれだけでは、物足りないかもと思う方が読むのにぴったりの作品だと思います。また、先に記したように、悲惨な内容が記されているからこその強烈な感動が押し寄せてくる作品なので、とにかく感動したい、涙活したいという方にも最適な本だと言えるでしょう。心を大きく揺さぶられるような手ごたえの感じられる作品が読みたいという方にもおすすめです。小川さんの作品は大好きだけど「驚き」や「意外性」はないなあと思い込んでいる方も、いい意味で裏切られる作品です。