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読みやすさ
学び
面白さ
この本から学べるポイント
- 1:アート作品を鑑賞するときに知らず知らず知識や常識にとらわれていたが、そんなものは必要ないということ。
- 2:有名なアーティストがなぜ美術史の中で評価されているのかという本当の意味がわかった。
- 3:子育てをする中で、子どもが感じるこころを大人の常識でジャッジしてはいけないということ。
東京都にお住いのペンネームちゃうすさん44歳女性(職業:専業主婦(主夫)?)から2022年5月頃に読まれた13歳からのアート思考を読まれたレビューになります。
13歳からのアート思考の内容
著者は元美術教師で、その経験を通して、美術作品を鑑賞するときに固定概念をとっぱらい、幼い子どものようなこころで向き合うことで、わかってくることがたくさんあるということを説きます。たとえば有名なモネの絵画「睡蓮」にはカエルは描かれていませんが、その絵を鑑賞した子どもが「カエルがいる」と発し、たずねると「水の中にいる」と答えたそうです。展覧会で作品を見るときには、作品名や解説をまず見てからその作品を鑑賞しがちですが、そうではなく、予備知識なく自分の感性で向き合うことの大切さをさまざまな例で伝えます。
13歳からのアート思考の著者について
著者:末永幸歩
武蔵野美術大学・東京学芸大学大学院卒業後、中学・高校の美術教師として教壇に立つ。現在東京学芸大学研究員、またアーティストとして、さまざまなアートワークショップを開催している。
13歳からのアート思考のYoutube
「13歳からのアート思考」についてYouTube(ユーチューブ)で紹介している動画がないか調べてみました。
「本要約チャンネル【毎日19時更新】」チャンネルで紹介されているので良ければ合わせて見てみてください。
13歳からのアート思考本の要約
この本から学べるポイント
- 1:アート作品を鑑賞するときに知らず知らず知識や常識にとらわれていたが、そんなものは必要ないということ。
- 2:有名なアーティストがなぜ美術史の中で評価されているのかという本当の意味がわかった。
- 3:子育てをする中で、子どもが感じるこころを大人の常識でジャッジしてはいけないということ。
現在美術は、小学生が好きな教科第3位から、中学生になって嫌いな教科へともっとも下落する教科です。その分岐点は、13歳。著者はここに中学校以降の美術教育の問題点を感じます。作品を見るよりも知識を詰め込む授業、そうして学んできた大人こそ、いま美術を学び直すことが大切です。感性をみがくことで、ものの見方・考え方に新しい発見を得られるかもしれません。「アートに詳しくなる」とうことを目指すのではなく、アートを通して非日常の刺激に触れ、自分なりのアート思考を育てるための一冊です。
アート作品を鑑賞するときに知らず知らず知識や常識にとらわれていたが、そんなものは必要ないということ。
大人はまず作品に向き合う前に、誰が描いたものか、いつどんな目的で描いたものか、その作品が有名かどうかなど、いろいろな知識をもって、そのうえで鑑賞しがちです。たとえば、作品の解説に「この絵の見どころのひとつは特徴的な陰影をはらんだ遠近法で…」とあれば、絵の中でその部分を確認して、満足して作品を鑑賞したような気になります。しかし、何の知識も持たずにその絵と向き合うことで感じること、それを大切にしたほうがいいということがわかりました。
有名なアーティストがなぜ美術史の中で評価されているのかという本当の意味がわかった。
ピカソなどの有名な画家が描いた作品、なぜそれが美術史の中で評価されているのか、わからなかった部分があります。何重にも歪んだ線で描かれたいびつな女性の姿…はっきり言ってどこがいいのだろう?と思っていましたが、当時、これまで遠近法という描写法が確立していなかった時代、ピカソは女性の姿をいろいろな角度から眺めてそれを同時にひとつの絵に描き込んだそうです。ピカソはそうすることで、いろいろな視点から眺めた姿を一度に描くという画期的な描き方をはじめて試したそうです。これまで知っていた作品への評価が変わりました。
子育てをする中で、子どもが感じるこころを大人の常識でジャッジしてはいけないということ。
有名な美術作品でも、子どもは簡単に「嫌い」と言ったりします。また、逆に無名な作品になぜか心惹かれる様子なこともあります。大人は知識として一般的なその作品の評価を知っているため、そうした見方を子どもにも促してしまいがちですが、気を付けようと思いました。この本で取り上げられるアーティストのひとりマルセル・デュシャンは、その辺で売っていた便器にサインをして作品として発表したそうです。アートは高尚であるもの、という考え方への痛烈な批判を感じます。けして「こうでなければならない」はないので、自らの感じ方を大切にしようと思いました。
13歳からのアート思考を読んでの感想やレビュー
「アートとは何だろう?」そうあらためて考えたときに、この本を通して、アートとは、アーティストがその人なりの感性で表現したものを、こちら側も自分なりの感性で受け取るものだということがわかりました。そこには、鑑賞するうえでの常識や知識は必要ありません。ちょうど13歳の息子がいるのと、自分が美術鑑賞が好きなこともあり手に取って読んでみたのですが、子どもへの向き合い方だけでなく、自分の知らず知らず常識にとらわれがちな子育てをも顧みるいい機会になりました。
『13歳からのアート思考』#読了
美術館に行きたい友達に言ったら勧められて
作品が描かれた背景とか気にせず作品を解ろうとぜず、気になった作品をなんでだろう?って突き詰めて考えるのが大事
これって読書でも仕事でも何にでも通じることなんだろうな
美術館に行く敷居が低くなったのは朗報✨ pic.twitter.com/P7EQOlHbA7— Tatty_y (@Tattyy99820891) April 9, 2022
「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考/末永幸歩
これまでの「アート」への考え方が見事に変わりました!内容も授業方式で知識もない私にも易しかったです。アートの固定観念を壊した6人の天才達、すごいです!アート思考、意識していきたいです。#読了 pic.twitter.com/9gNBuGNcwC— まかろに@読書垢 (@makaroni369) October 24, 2021
13歳からのアート思考がおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 美術作品にまったく興味や関心がない人。
- 小学生以下の子ども。
- アーティストとしてすでに活動を行っている人。
- なし
- なし
基本的にすべての人におすすめですが、美術作品を取り扱って解説しているというこの本の性格上、アートに興味のない方は手に取りづらいかもしれません。ですが、そういう方にも、あの有名な作品が実は…という、あらたな見方を提示されているので、目から鱗かもしれません。また、すでにやわらかい感性を備えている子どもや、アーティストとして活動している人にとっては、すでに実践できていることかもしれません。ところどころで読者がトライできるクイズのようなコーナーや、アートワークもあるので、楽しみながら読み進めることができます。
13歳からのアート思考をおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 常識にとらわれがちな現代人
- 美術鑑賞が趣味な人
- 教育に携わっている人
- なし
- なし
ものを見るときに常識的に判断したとしても、立場や味方が変わればそれがベストかはわかりません。まっさらな気持ちで美術作品をさまざまな角度から鑑賞するようにものごとに向き合えば、多角的な見方ができるかもしれません。これまでに作品への知識としてもってきたものが、別の視点から見ることによって作品への評価が変わります。また、美術作品に詳しい人こそ、あらためて作品への向き合い方をもう一度確認してみるのもいいと思います。教育に携わる人にとっても、子どもを常識の枠にはめ込むのではなく、その子なりの感性を尊重する大切さに気付くことができる良書だと思います。