ご紹介する本
声めぐり
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著者: 齋藤 陽道
出版社: 晶文社
発売日: 2018/7/26
本の長さ: 288ページ
この本から学べるポイント
- 1:聴覚障害者の言葉を覚える手段を学ぶ
- 2:まなざしと沈黙の威力を学ぶ
- 3:対話に必要なのは他者を思いやる気持ちであるという事を学ぶ
千葉県にお住いのペンネーム遥司(はるかつかさ)さん70歳男性(職業:会社員・職員(正規雇用)?)から2022年1月頃に読まれた声めぐりを読まれたレビューになります。以下からKindleや中古で購入できるので興味がある方は是非見てみてください
声めぐりの内容
聴覚に障害のある写真家・齋藤陽道氏が自らの人生における「声」との関わり方を通して人として、写真家として大切なものを発見していくお話しです。
補聴器をつけながら発声練習をさせられた苦痛でしかなかった子供時代。
ろう学校に入って「手話」に出会ってから人生が輝かしいものとなり学校に行くのが楽しくなる。
社会人となり様々な経験・人との出会いにより、本来の聞こえてくる「声」以外の「声」に気づく。それは、手話であり、抱擁であり、格闘技であり、沈黙であった。これらの経験が写真家としてもテクニックではない大切なものを見出してくれていた。
声めぐりの著者について
著者:齋藤 陽道齋藤陽道(さいとうはるみち)1983年東京都生まれ 写真家
都立石神井ろう学校卒業、障碍者プロレス団体「ドッグレッグス」所属
2010年 写真新世紀優秀賞 受賞
写真家として精力的な活動を続けている。
Youtube
“ろう”の写真家・齋藤陽道から湧き出た子守歌/映画『うたのはじまり』特報
声めぐり本の要約
この本から学べるポイント
- 1:聴覚障害者の言葉を覚える手段を学ぶ
- 2:まなざしと沈黙の威力を学ぶ
- 3:対話に必要なのは他者を思いやる気持ちであるという事を学ぶ
コミュニケーションをとる際の最大のツールは「声」であることは紛れもない事実であります。「声」は他者に自分の思いを伝える手段だからです。
「声めぐり」は「声」という武器を有しない存在にあっての自分の意思を伝える手段を取り上げています。
対象は、聴覚障害者であったり、ダウン症等の身体障害者であったり、赤ん坊であったり、動物であったりします。
その手段はまなざしであったり、抱擁であったり、手話であったり、格闘技であったり、沈黙もあります。
そして、それらの「声」は耳で聞くいわゆる「声」以上に濃密に他者に届き、受け入れてもいます。
「声」ではない「声」を読み取ろうとする聞く側の姿勢が問われています。
聴覚障害者の言葉を覚える手段を学ぶ
分かってみれば当たり前のことですが、聴覚障害の方は言葉を覚えるのに耳からではなく補聴器をつけながらかすかに聞こえる音で発声練習し言葉を習得していく。
幼児が言葉を覚えるのに口真似から少しずつ覚えていきおしゃべりできるようになりますが、聴覚障害者の場合、それができません。
筆者が書いているように、その発声練習が如何に嫌で苦痛だったか、自ずと自分の殻にこもるようになることも理解できます。
ろう学校に入り手話を覚えた時の世界が変わったような画期的な瞬間もわかるような気がします。
改めて、当たり前にできている様々なことに感謝しなければならないと思いました。
まなざしと沈黙の威力を学ぶ
ろう学校の恩師が、精神的に折れそうになりながらもかたくなに普通学校に通う筆者を「おはよう」という力強い言葉で支えてくれ、まなざしと沈黙で粘り強くろう学校へ誘ってくれた。そして、その時「自分を一人の人間としてみてくれている」喜びを感じていました。
「まなざしを通して沈黙のうちに伝わる声をぼくは聞いていた」
「ほんもののことばは語ることのできない意味に満ちている」と綴っています。
言葉では伝えることができない思いが筆者の心を動かしたと思います。
とかく、安易に言葉で説得しようとしますが、心を動かすのは言葉ではなく相手を思う心だという事を教えてくれました。
対話に必要なのは他者を思いやる気持ちであるという事を学ぶ
「自閉症の少年との出会いを通して一つの道理を得た」というくだりがあります。
そこで述べられていることがこの本の本質だと思います。
「たとえ、どれほど表情や動作、つむがれることばが貧しく、違和感をもって感じられたとしても、その人の裡も同様に貧しいと言い切ることは、絶対にできない。貧しく見えるのは、貧しい器でしか測ることのできない自分のせいであるとし、語り得ないものを抱える存在ほどに豊穣を抱えている。」
他者に思いを伝える時に、他者から思いを聞く時に一番大事なのは語っている内容ではなく、他者を思いやる気持ちだと気付きました。
声めぐりを読んでの感想やレビュー
日頃から「声」の力を大切に考えておりました。自分の思いを声に乗せて相手に伝えるということです。「言わなければわからない」「言ったもん勝ち」という風に言葉を発することに重きを置いて生きてきました。
この本を読んで意思の伝達方法にまなざし・沈黙・抱擁・格闘といったツールがあり、声以上にその役割を担っているという表現に驚きとともに共感を覚えました。そしてそれらは声と同じように相手に対する信頼・敬愛・尊敬の思いに裏打ちされたものでなければ届かないというメッセージを戴きました。
声めぐりがおすすめでない人
こんな人はおすすめしない
- 書かれている内容が当たり前だと感じるレベルに達している方。
- 読む能力・理解力等の欠如している方。
- 認知症の方。脳疾患による思考力が低下もしくは無い方。
- なし
- なし
書籍の内容からしてもすべての人を対象に書かれていますので、基本的にすべての人におすすめですが、しいてあげるなら、
書かれている内容が当たり前に感じることのできるレベルに達している方には今更感があると思います。
それとは反対に、読む能力・理解力等の欠如している方も無理かもしれません。
さらに、認知症・脳疾患による思考力の低下もしくは無の方も対象外になります。
本来ですと、書物の持つ役割からするとすべての人を対象としていると思いますので、
この本の内容を伝えることで対応していただきたいと思います。
声めぐりをおすすめしたい人
こんな人におすすめ
- 世界各国の指導者
- 教育者
- 政治家
- 子どもの教育で悩む方
- 会社内で部下が思い通り動かず困っている方
おすすめのポイント
①世界各国の指導者に対して
「ほんもののことばは目に見えぬやさしい手として、こころに当てられている」
どんな言葉より優しさをもって接することの重要性を改めて認識し、今していること(侵略戦争・核の威嚇・地球温暖化対策等)の是非を自らに問うていただきたいと思います。
②教育者に対して
生徒が、先生が自分の方を見てくれていると認識できただけで頑張れるといいます。
まなざしで・沈黙で優しさを伝えてください。
③政治家に対して
大きな声を聞くだけでなく、小さな声・声にならない声を聞いてください。
党利党略を超えて国民目線で取り組んでください。